風邪

2018.8.17

インフルエンザと風邪の6つの違い|インフルに誰より詳しくなろう!

1万人

みなさんは、この数字が何の数字かお分かりでしょうか?

これは、1年間でインフルエンザによって亡くなる人の数です。

インフルエンザそのもので亡くなった人(1000人ほど)もいれば、インフルエンザの合併症によって亡くなった人もいます。

またインフルエンザ感染者は、国内だけで1000万人を越えると言われています。

毎年冬になると流行するインフルエンザですが、みなさんは「インフルエンザ」についてどこまで知識を持っていますか?

もしかしたら「風邪の延長」のように思っていたりはしませんか?

実はインフルエンザと風邪は別物なのです。

本記事では、インフルエンザと風邪の違い、逆に共通するところ、どんな病気なのか、風邪とはどんな関係があるのか、もし子供がインフルエンザになってしまったらどう対処すれば良いのかなど「インフルエンザ」に関するあらゆることをご説明します。

みなさんもこれを読んで、インフルエンザへの理解を深め、危機感を持って冬に臨みましょう。また「予防接種は何のために受けるのか」という疑問にもお答えします。

1 インフルエンザと風邪の違い

では早速、「インフルエンザ」と「風邪」の違いについて、ご説明します。

本記事では6つの点に注目した表で、それぞれうを比較しました。

比べる6つのポイント

インフルエンザ 風邪
発症 急激 ゆっくり
原因ウイルス インフルエンザウイルス 様々なウイルス
発症の部位

全身

気管
発熱

38℃以上の高熱

微熱
流行時期 冬期 一年中
呼吸器症状 後から出る 先に出る

どちらも、あくまでも一般的に言われている特徴なので全ての人が、当てはまるというわけではありません。

「微熱だから風邪だと思ってたのに、検査をしたらインフルエンザだった!」なんて話もよくあります。

インフルエンザが流行する、冬の時期は症状の重さに関わらず、きちんと病院へ行って検査を受けることをオススメします。

ちなみに、受診する科は「一般内科」「呼吸器内科」「耳鼻咽喉科」がおすすめです。

その他の違い

上記の表にまとめた点以外にも、風邪との違いはいくつかあります。

特に注目すべきことは2つあります。

1つ目は「法律の有無」です。

インフルエンザと診断した医師は、保健所に届出を出さなければならないという法律があります。

(全ての医療機関ではなく特定の医療機関だけではある。)

当然、風邪と診断した場合はそんな決まりはありません。

2つ目は「ワクチンの有無」です。

インフルエンザが風邪と決定的に異なる点は、原因ウイルスがはっきりと特定できる事です。

風邪の原因ウイルスは200種類以上あると言われており、その特定は容易ではありません。

しかしインフルエンザは「インフルエンザウイルス」が原因であると分かっています。
つまりワクチンも作ることが出来るのです。

共通点とは?

では逆にどちらにも共通している事は何でしょうか?

それは予防方法と対処方法です。

手洗いうがいバランスのとれた食事十分な睡眠時間をとるなど日常的にするべき予防は、風邪と同じです。

また対処法も、インフルエンザで病院へ行く事以外は同じです。

水分補給をしっかりとする、体を休める消化に良いものを食べる、体を冷やさないなどが基本です。
これらの点を気をつけた上で、病院から処方された薬を飲みましょう。

2 インフルエンザってどんな病気?

前章では風邪との違いについて、お話ししました。

ではここからは、「インフルエンザとは一体何なのか?」という疑問を解消していきます。

インフルエンザの症状について

まず初めに、インフルエンザではどのような症状が出るでしょうか?

症状の特徴や、発症の仕方についてをご説明します。

特徴

インフルエンザの最大の特徴は、何と言っても「感染力の高さ」です。

風邪の100倍以上の、感染力もあると言われています。

感染方法については2通りあります。

1つ目は「飛沫感染」です。

くしゃみ、咳などの飛沫と一緒にウイルスが飛び、鼻や口から周囲の人の体内に入り込み感染させます。

2つ目は「接触感染」です。

ウイルスが付着したドア、スイッチ、つり革に触れた手で、口や鼻を触る事で感染します。

潜伏〜発症の期間

インフルエンザの発症は、非常に特徴的です。

個人差や、インフルエンザの型にとって違いはありますが、 大多数は初めに高熱が出ます。

冬の時期に呼吸器系の症状(咳、くしゃみ、鼻水など)がなく突然、高熱が出た場合は真っ先にインフルエンザを疑うべきです。

熱が下がってきた頃に、ようやく呼吸器系の症状が出始めます。

つまり通常の風邪と逆の順で発症することが多いです。

いつから出社できるの?

学校と違い、会社にはインフルエンザにかかった場合の、出勤停止に関する法律はありません。

しっかりと決めている会社が多いですが、内容は様々なので、本記事で断定する事はできません。

しかし「一週間前後は出勤停止」としている会社が多いようです。もしくは、完全に熱が下がってから2日間は出勤停止としているところもあります。

3つの型

さて一言で、インフルエンザと言ってもその中には、いくつかの型が存在します。

本記事では、感染する人が多いものを3つご紹介します。

インフルエンザには、これから紹介する3つ以外にも、「C型インフルエンザ」というものがあります。

しかしこれは、一度感染すると抗体がつき以降は、殆ど感染しません。

ほとんどの成人が免疫を持っているため、感染しても重症化せず、風邪と思われがちです。

まだ抗体ができていない、4歳以下の子供はかかることがあるとされています。

A型

インフルエンザの中で、最も感染者が多いのが「A型」です。

ここまでご説明してきた、症状などに関しても「A型」に当てはまるものが殆どです。

また、ウイルスの形がどんどん変わるため、一度かかったからと安心はできません。

何度もかかってしまう人が多い型でしょう。

また、合併症などを引き起こし易く、最も危険で症状も重篤な型です。

近年話題となっていた、「鳥インフルエンザ」や「豚インフルエンザ」もA型のインフルエンザに含まれことからも、その脅威をお分りいただけるでしょう。

B型

A型と比べ、あまり大きく流行しない種類が「B型」です。

大きく流行しないとは言え、毎年一定数の感染者を出している型なので、油断はできません。

A型とは特徴が大きく異なり、B型のインフルエンザは主に「胃腸」に症状が出る場合が多いです。

最も多い症状としては、下痢腹痛などです。

新型

前年までには見られなかったウイルスを全て「新型インフルエンザ」と呼びます。

症状などは、その年流行したウイルスの特徴によって異なるため、一概には言えません。

ただ、季節性のインフルエンザ(A型やB型など)と似た症状であることが殆どです。

冬に流行する理由は空気の乾燥にあった!

では、インフルエンザはなぜ毎年「」に、流行するのでしょう。

実は、はっきりとした理由は解明されていません。

ですが、最も可能性が高いと考えられている理由は「乾燥」です。

湿度が低下すると、ウイルス自体が活発になり、反比例するように私たちの体の呼吸器の免疫力は下がります。

さらに呼吸器だけでなく、気温の低下の影響で全身の免疫力も下がります。

そして乾燥した空気は、インフルエンザウイルスの代表的な感染経路である飛沫感染」にはとても好都です。

以上のことから、インフルエンザウイルスが猛威を振るうために「最適な季節が冬」というわけです。

3 予防接種について

予防や症状を重篤化させないために、大切なのが「予防接種」です。

「子供の頃は親に連れられ、予防接種を受けていた。でも大人になると、なかなか時間を作って自ら予防接種へ行くことがなくなってしまった。」

そんな人は多いのではないでしょうか?

しかし、実は予防接種を受けることは、予防以外にも様々な意義があるのです。

期待できる効果

予防接種を受ける意義の前に、期待できる効果についてご説明します。

インフルエンザの予防接種には、あらかじめインフルエンザウイルスを体内に入れておくことで免疫を作る効果があります。

しかし、インフルエンザに対する抗体ができていたとしても、残念ながらウイルスそのものの侵入を、防ぐことにはなりません。

しかしその後の経緯は、ワクチンを摂取している人としていない人では大違いです。

たとえ体内に侵入されても、すぐさま免疫細胞が働き、速やかにウイルスを退治してくれるのです。

予防接種の意義

とは言え、予防接種で、完全にインフルエンザを防ぐことはできません。

ワクチンを摂取していても、インフルエンザが発症することは大いにありますし、人によってはアレルギー反応が出る可能性もあるなどが理由で、近年物議を醸しています。

しかし、予防接種を受けることには自分自身が発症するかどうかということではなく、「社会人としての一種のマナー」でもあるのです。

しっかりと予防接種をしていたにも関わらず、インフルエンザになってしまったのなら、仕方ありません。

しかし、事前にやるべきことをやらずに、インフルエンザになり挙句、周囲に蔓延させてしまったりするのは、社会人として無責任と言えます。

適切な時期

では実際に予防接種をするとなると、いつ頃が良いのでしょうか?

ワクチンが体内に入って、免疫の体制が整うまでに2〜3週間かかります。

しかも、ワクチンの効果も永続するわけではありません。

だいたい3〜5ヶ月ほどで効果は切れてしまいます。

ですから、遅すぎず早すぎないタイミングで予防接種を受ける必要があります。

インフルエンザが流行しだす時期は、早い年で11月中旬〜下旬遅い年で年末年始からです。

なのでタイミングとしては「10月下旬〜11中旬頃」が良いでしょう。

風邪と予防接種

予防接種に関して、よく見かける質問に「風邪を引いている時でも予防接種を受けて大丈夫か」というものがあります。

ここではこのような質問を解決していきます。

結論としては「風邪以外に問題がなければ受けられる事が多いが、必ず大丈夫とは言えない」という事です。

というのも、医師によって判断に差が出ることがありるので、必ず大丈夫かどうかはわかりません。

ただ、以下の項目に該当する方は、受けられない可能性が高いでしょう。

  • 37.5℃以上の発熱がある場合
  • 重篤な急性疾患にかかっている人
  • 過去にインフルエンザワクチンによって「アナフィラキシーショック」を起こした人
  • その他にも医師が不適当と判断した場合

“日本のタミフル使用量は世界全体の7割以上!?”

日本は、世界全体でのタミフル消費量の「約75%」を消費しています。

我が国は、なぜこんなにタミフルを消費しているのでしょうか?また他の国は、なぜあまりタミフルを使わないのでしょう?

実は、タミフルとは本来「普通の人」が、気軽に頼るものではありません。

(「普通の人」とは、幼児でも高齢者でもなく、持病もない人です。)

ですが日本では、インフルエンザと診断されると、すぐにタミフルを処方されます。

他の国…例えば米国などでは、タミフルを処方する際に「明確な基準」があります。

具体的には、症状の重さ、年齢、妊娠の有無、持病などです。

では、日本人がタミフルに頼っているのはなぜでしょう?

最も考えられている理由は、「症状を早く治したいから」でしょう。

しかし、この点について実は、あまり効果がないと言われています。それは、通常7日ほど続く症状を、短縮させても6.3日ほどにしか縮まらないということです。

これはさほど大きな効果とはいえないでしょう。

加えて、タミフルは薬なので当然、副作用があります。代表的なのは「嘔吐」です。

大切なのは「治療で期待できる効果」と「副作用の可能性」を比べて、本当に自分はタミフルが必要かを考えることです。

4 合併症にご注意を!

インフルエンザは、そのものの症状も重いのですが、さらに深刻な「合併症」の心配もあります。

高齢者に多いのは「肺炎」、幼い子供に多いのは「インフルエンザ脳症」です。

それぞれ、以下のような症状が見られる場合は、合併症の可能性があるので、すぐに病院に行きましょう。

肺炎

インフルエンザによる合併症としてはじめにあげられるのが「肺炎」です。

以下のような症状の方は、すぐに病院へいきましょう。(受診する科は、インフルエンザと同じで構いません。)

  • 咳が4〜5日続く
  • 微熱が続く
  • 呼吸が浅い

インフルエンザ脳症

次に考えられる合併症は「インフルエンザ脳症」です。

こちらも、下記のような症状の方は、医師による診察が必要です。

  • 意識が曖昧(呼んでも無反応)
  • 不可解な発言をする
  • 顔色が悪い

自己判断は危険!

ここまで、インフルエンザの様々な特徴を上げてきましたが、それはあくまで一般的な特徴です。

当然人によって個人差もあり、誰もが当てはまるというわけではありません。

なので、熱がそんなに高くないからただの風邪だ、などと自己判断するのはやめましょう。

特に、冬の時期は感染が拡大しやすいため、少し「調子悪いな」と感じたら、すぐに病院へ行きましょう。

高熱が出ると言われているA型のインフルエンザであっても、人によってはそこまで高熱が出ないこともあります。

5 子供がインフルエンザになった!

子育てをする母が、最も懸念するのが「子供の体調」ですよね。

学校での集団生活では、いくら本人に気をつけさせていても周りの子供達が全員、しっかりと予防接種を受けているとは限りません。

本記事では、子供がインフルエンザになってしまった場合に、よくある質問や心配の中から、2点を解説して行きます。

異常行動はなぜ起こる?

近年ドキュメンタリー番組などでも取り上げられている、「タミフル(抗インフルエンザ薬)によって異常行動を起こす子供」などの情報から、不安を募らせている親も多いのではないでしょうか?

しかし、実はタミフル=異常行動の原因という根拠は、今は見つかっていません。

それどころか、厚生労働省が2015〜2016年に実施した調査によると、

異常行動を起こした人たちの中で14%の人が「薬を服用していなかった」事がわかっています。

異常行動の原因はタミフルではない!

つまり、異常行動はタミフルが原因ではなく、インフルエンザの症状の1つと考える事が自然でしょう。

現在は、異常行動を抑える方法は見つかっておりません。

なので異常行動を起こしても怪我をしたり、命を落としたりすることを防ぐしかありません。

防げる事故は防ごう!

小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザ薬の種類や、服用の有無に関わらず、治療開始後少なくとも2日間は1人にしないようにしましょう。

また、異常行動の約80%が寝起きに発生しています。

なので、小児・未成年を寝かせる時には下記の事柄に注意しましょう。

  • 必ず窓は完璧に施錠
  • (できるだけ)窓に格子のある部屋で寝かせる
  • 戸建ての家では、一階で寝かせる

いつから登校できるの?

では学校などは、いつから登校できるのでしょうか?

インフルエンザによる「出席停止期間」は、「学校保健安全法」で定められています。

登校するためには、以下の2点のどちらも満たす必要があります。

  1. インフルエンザ発症後日以上の経過
  2. 解熱後日間の経過

熱が下がっていても、2日間登校できないのは、まだ体内にウイルスが残っている可能性があるからです。

6 最後に

いかかでしょうか?

身近な病気であるインフルエンザですが、意外と知らなかったこともあったのではないでしょうか?

しっかりと知識をつけていないと、噂だけで子供のタミフル服用を拒んだり、怖い合併症になっていてもすぐに気が付けなかったりと、命を落としかねません。

自分自身や家族を守るために、しっかりとインフルエンザに対する理解を深めましょう。

 

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