「体温が高い方は免疫力が高い」と聞いたことがありますでしょうか?
風邪を引いた時やインフルエンザに罹った時など、体が不調の時は体温が上がりますよね?
これは免疫力を高めてウィルスなどと戦うためです。
体温が1℃上がると免疫力が5倍になると言われています。体温が上がると血流が良くなり、免疫細胞の働きを助ける酵素も活性化するためです。
そのため、日常的に体温を上げることはすごく重要なのです。
本記事では、これからの生活をよりよくするために日常的にできる体温を上げる方法を紹介します。
目次
1 体温と免疫力が深く関係する理由は血流と酵素
体温が高くなると血流が良くなり、酵素が活性化し、体内の異物に対する攻撃が強くなります。
1-1 体温が高いと血流が良くなり、免疫細胞が体の隅々まで届きます
まず、体温が高くなると、体内の熱を発散するために血管が拡張します。拡張した血管により、全身の血流が良くなります。
血流は、全身の細胞に栄養や酸素、免疫細胞である白血球を運びます。血流が良くなるということは、体のどこかで白血球が必要となった細胞を即座に見つけることができ、対応ができるようになります。
1-2 体温が高いと酵素の働きが活発になり、免疫細胞にいい影響を与えます
酵素とは、細胞が活動するために必要不可欠なものとなります。この酵素は、体内で生成されるものと食べ物から取り込むものがあります。
酵素の役割として、
- 食べ物やアルコールなどを消化するために「分解」する
- 栄養を体内に取り込むために「吸収」する
- 老廃物を体外に出すために「排出」する
- 新陳代謝を活発にする
などがあります。
【ポイント】酵素は37度台が一番活性化
酵素はまさに生命維持に必要不可欠なもの。そして、体内で起こる様々な化学反応で必要となる酵素は、体温が37℃台の時に一番活性化します。この酵素は白血球にも影響を与えます。
体温が1℃上がると「免疫力が5倍になる」というのは、酵素が活性化することにより免疫細胞の働きが活発でスムーズになるからです。
1-3 体温が36.5~37.0℃がもっとも健康な体温
このような理由から、もっとも健康な体温が36.5℃~37.0℃になります。
昔の水銀温度計のメモリは37℃の部分が赤くなっていました。しかし、この赤くなっているのは「基準体温」であり、「これ以上の体温は高すぎる」という意味ではなかったともいわれています。
ただし、平熱が低い人(35℃台)が一時的に37℃になったけど、これは健康な状態というわけではありませんので、ご注意ください。
2 体温を高く保つには筋肉と自律神経がポイント
現代人の平熱は下がってきているいわれています。これは、移動手段が便利になったり、トイレが和式から様式に変わったことにより、現代人の筋肉量が減ったことが原因とされています。
2-1 体温の40%は筋肉からの熱
筋肉は最大の熱産生器官です。男性より女性の方が筋肉量が少ないので、女性の方が冷え性が多いのです。
体温を上げるにはとても重要な要素となるのが筋肉です。
≪実践1≫ 1日30分のウォーキングなどで足の筋肉を鍛えよう!
筋肉をつけるといっても激しい筋トレは禁物です。激しい筋トレは、後述する交感神経を強く刺激してしまいます。
体温を上げるために重要な筋肉は、「第二の心臓」ともいわれる、「足」に筋肉をつける必要があります。足に筋肉をつけるには、30分のウォーキングやスクワットなどがオススメです。
≪実践2≫ これだけはやろう!駅階段の本気の上り下り
忙しいと30分のウォーキングやスクワットなどを実施するのが難しいと思います。
そんなときは、通勤時に自然とできる駅階段の上り下りがオススメです。しかも、ただ上がったり下りたりするのではなく、できるだけ早く上り下りをするように心がけてください。
この「できるだけ早く」が筋肉を鍛える秘訣です。
【コラム】なぜ、足は「第二の心臓」といわれるのか?
血管は足の指先まであります。そして、足の指先を通ってきた血液はどのように心臓に戻ってくるのでしょうか?それは、足の指先から重力に逆らって登ってくるのです。そして、その際に重要になるのが、足の筋肉です。
足の筋肉がポンプの役割をして、足の指先から血液を心臓まで押し戻します。このポンプの役割がしっかりと機能しないと心臓に血液が戻ることができず、老廃物が足先にたまってしまうだけではなく、全身の血流が悪くなってしまい、冷えや免疫力低下の原因になります。
足の筋肉はしっかりとつけましょう!
2-2 副交感神経を刺激して血管を拡張
人間は、自律神経により体の活動のバランスをとっています。
この自律神経のバランスが崩れると体温が低くなります。特に大きなストレスを感じたとき、緊張により血管を収縮する「交感神経」が働きます。もちろん、血管が収縮するので、血流が悪くなってしまいます。
≪実践1≫ 副交感神経の刺激には「しっかり眠ること」
それでは、副交感神経を働かせるにはどうすればいいでしょうか?
それは「しっかりと眠ること」です。少なくともベッドなどでしっかりと横になって7時間は寝てください。
体を横にすることで、重力から解放し、「副交感神経」を刺激します。
副交感神経が刺激されると、血管が拡張し、全身の血流が良くなります。
≪実践2≫ これだけはやろう!眠る前の爪もみ
副交感神経は自ら刺激することができます。眠る前だけでなくても緊張が長く続いたとき等にも活用してください。
■爪もみの方法
爪の生え際にある「井穴(せいけつ)」を刺激します。この井穴には神経線維が密集しており、ここに刺激を与えると、その刺激が自律神経に伝わります。薬指は交感神経、その他の指は副交感神経に伝わるようになっております。
この井穴を人差し指と親指で10~20秒間強く押しもみをします。全部の指をもんでも2分程度しかかかりません。最低でも1日2~3回ほどやると程よくリラックスできます。「気が付いたら爪もみをしている」くらいでも構いません。
3 免疫力が高い=病気にならないではない
免疫力が高いとは病気に「ならない」とは違います。体温が高く免疫力が高くても病気にかかることはあります。
3-1 体温が高いと病気に「かかりにくい」
体温や免疫力が高いと、血流が良くなり、酵素によって白血球が活発になるので、病気になる前に細菌やウィルスを白血球が撃退するため、病気にかかりにくくなります。
出典:安保徹の新体温免疫力/安保徹著 ナツメ社
また、風邪を引いたり、インフルエンザにかかってしまっても、体温が高く血流が良くなっていれば、患部をすぐに治してくれます。
3-2 風邪を引いたら無理せず体を温めて休もう
体温が高く免疫力が高くても、風邪を引いてしまったら、家でゆっくり休ましょう。体温が上がって汗をかくので汗により体を冷やさないようにしながら、しっかり水分補給をして、睡眠をとります。
睡眠により副交感神経が活性化し、そうすると免疫細胞が活性化します。
風邪を引いたときは、ゆっくり休みなさいという体のサイン。ぜひ、ゆっくり休んでください。
【コラム】解熱剤は体温を下げますので、極力避けましょう
風邪を引いて病院に行くと解熱剤を処方されますが、39℃を超えるような熱が出ない限りは飲まないようにしましょう。37℃後半などで解熱剤を飲んでしまうと、かなり体温が下がってしまいます。また、解熱剤は交感神経を刺激するので血管が収縮し、免疫細胞の流れを悪くしてしまいます。
熱が高すぎて眠れないなどもありますので、そのような場合以外は極力避けましょう。
4 まとめ
体温と免疫力の深い関係についてまとめました。
体温が高くなると、血流が良くなり、細胞の栄養吸収や老廃物の排泄に必要な酵素が活性化し、免疫力が高まります。
日ごろから体温を高めるには、足の筋肉を鍛えるために日常生活に足を使った運動を取り入れるようにしましょう!
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