「低体温症」という言葉を聞いたことがありますか?
雪山遭難事故のニュースで「低体温症により死亡」などと
言われているのを聞いたことがあるかもしれませんね。
「自分は雪山なんか行かないから関係ない」と
思われるかもしれませんが
実は、低体温症はとても身近に潜んでいます。
低体温症の原因と対策方法についてもまとめましたので
ご自身の生活にお役立てください。
1 低体温症とは
その名の通り、体温が低い状態のことなのですが
特に「直腸温が35度以下に低下した場合に低体温と診断される」(wikipediaより)
とされています。
1-1直腸と腋の体温差は約1度
通常は腋の下で体温を測ることが多いと思いますが
外気の影響を受けるため、直腸(身体の深部)より約1度低くなります。
直腸の温度は37度程度の人が多いです。
直腸の温度が35度以下の状態が低体温症なので
わきの下で測ったら34度以下ということになりますね。
1-2 低体温症には2種類ある
「偶発性低体温症」・・・事故、不慮の事態あった場合に起こる
「誘発性低体温症」・・・脳、心臓の手術をするときに患者の身体を冷やすこと
一般的に低体温症という場合、偶発性低体温症のことを言います。
2 低体温症になる原因
身体で作っている熱(産熱量)より、身体から発する熱(放熱量)のほうが
多くなってしまった場合に、低体温症になります。
産熱量<放熱量
周りの環境によって、急激に身体が冷えてしまった場合によく起こります。
2-1 雪山で遭難
雪に限らず、雨風で衣服が濡れた場合は特に注意が必要です。
冬でも夏でも気を付けなくてはなりません。
夏でも低体温症による死亡事故はあります。
2-2 お酒を飲んだあとの泥酔
お酒を飲むと体内でアルコールが分解され、一時的に体温が上がるが
そのあと皮膚を通じてアルコールが発散されて身体は冷えます。
眠気と重なって、外や駅のホームで寝てしまうと非常に危険です。
一番よくあるパターンなので泥酔しないよう気を付けましょう。
2-3 東日本大震災にて
東日本大震災では、津波で濡れた人々の間で低体温症の人がたくさん出ました。
濡れた身体に風を受け、急激に体熱が奪われた結果、
たくさんの方が亡くなられました。
2-4 冬場のマラソン
気温が低く風が強い中でのマラソンは、
汗で濡れた衣服越しに冷たい風が当たり、身体を冷やしていきます。
また、冬場でも身体からは相当量の発汗がある一方、
夏場ほど意識的に水分を取らない傾向があり、脱水が起こりやすい状態にあります。
脱水が起こると血液循環が悪くなり、体温を維持することが困難になり低体温症を起こしやすくなります。
2-5 ゲリラ豪雨による低体温症
思わぬ雨に遭遇し、傘などの雨具もなく、ずぶ濡れになってしまうことがあります。
野外のイベントなどで、雨に濡れたまま長時間過ごしたり、
また、雨に濡れたまま冷房が効いた屋内に長時間居続けたりすると、
低体温症を引き起こすことがあります。
3 低体温症の症状
低体温症の症状は、大きく分けて3段階あります。
もちろん低くなるほど危険な状態になります。
3-1 35度~32度
• 全身の震え
• 無気力、意識がはっきりしなくなる
• 呼吸が早くなる
• 手足の血管が収縮し、冷たく蒼白になる
3-2 32度~28度
• 震えが止まり、筋肉が硬直し始める
• 錯乱し、服を脱ぎ棄てたり、意味不明の言葉をしゃべったりする
• 呼びかけても反応しなくなる
• 呼吸が遅くなる
• 不整脈が出てくる
3-3 28度以下
• 痛みを加えても反応しなくなる
• 致死性の不整脈が出てくる
• 自発呼吸がなくなる
4 低体温症の予防と対策
気を付けてはいても、どうしても身体が濡れてしまったり
不慮の事態に遭遇することもあると思います。
そこから低体温症まで悪化させないことが大事です。
4-1 すぐに身体、衣服を乾かす
雨、災害などで身体が濡れ、そのまま放置すると低体温症になりやすくなります。
なので可能な限り身体をすぐに拭き、暖房で温まることが大切です。
衣服も乾かしましょう。
レジャーやスポーツなら、着替えとタオルはちゃんと準備しておきましょう。
4-2 温かい飲食物の摂取
できれば温かいものをお腹に入れましょう。
特にショウガ紅茶、ココアがあればベストですが
無い場合は温かいものにしてください。
カフェインを多く含むものは脱水作用がありますので控えましょう。
4-3 飲酒はほどほどに
アルコールは結果的に体温を下げてしまいます。さらに眠気を誘うため
外の寒いところ等で寝てしまったりすると、
アルコールと冷気のダブルパンチで一気に体温が下がります。
眠くなるほど飲酒はしないようにしましょう。
5 応急処置
低体温症が発症してしまった場合、基本的には救急車を要請することになりますが
軽い場合は周りの人ができることもあります。
5-1 35度以下ぐらいの軽症の場合
震えたり、顔が青白くなったりしているものの、意識ははっきりしている場合、
手をかして温かい飲み物を飲ませたり、着替えさせたり、温かい場所に移動するのを
手伝ったりすることで回復に向かうこともあります。
また、カイロや湯たんぽで腋のしたやそけい部を温めてあげましょう。
5-2 少しでも危険だと思ったらすぐ救急車を
意識が朦朧としているなどの症状が現れたら、すぐに救急車を要請しましょう。
応急処置だけで対処できることは限られています。
5-3 軽症ではない場合は、カイロや湯たんぽは使用禁止
低体温症が進行している場合は、カイロや湯たんぽで温めると
急激に熱を加えることになるため、血液が一気に心臓に戻って
ショック症状を起こすことがあります。
マッサージなどもしないようにしましょう。
まとめ
低体温症は日常生活の中で起こり得ます。
・身体が濡れた状態を作らない
・冷気を避ける
・温かいものを摂取する
ことが大事です。
これは、登山や雨に降られたときだけではありません。
身体を冷やして良いことは何もありませんので
普段から身体を温めることを意識して生活しましょう。
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