「温熱治療」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
温熱治療について、がん治療専門クリニックの先生にお話を聞いたときに、以下のようなお話をいただきました。
がん治療で最低限必要なことは温熱治療で体を温めること。ただし、がん患者にストレスを与えないことが大切。ストレスを感じると免疫力が下がる。温熱治療も病院で受けると大きな機械に入るでしょ?それだけで患者がストレスに感じるんだよ。だから、温熱治療はがん治療の基本中の基本だけど、病院でやるのではなく、家でテレビを見ながらとか寝ながらとかできる温熱治療が本当に有効だよ。
がんに対してストレスが良くないと言われています。さらにがんを治療するうえで最低限必要となる体を温めること『温熱治療』は自宅でできることがベストと言えます。
本記事では、温熱治療の効果と自宅でできる3つの方法をまとめています。
また、温熱治療のがん治療への効果をわかりやすくまとめています。がんを患っていて、まだ温熱治療を受けていない方が近くにいる方にはぜひ読んでほしい記事となっています。
温熱治療ががん治療だけではなく様々な病気の治療や予防にも貢献します。自宅でできる温熱治療の方法もご紹介しています。
目次
1 温熱治療の効果
温熱治療とは、患部を温めて治療することを言います。英語ではハイパーサーミアといい、「温熱療法」と呼ばれることもあります。
温熱治療の最大の効果は免疫力が上がること
温熱治療を受けることによる最大の効果は、
「免疫力が上がる」
ことです。
これは、温熱治療によって、体温が上がり、血流が良くなることにより、免疫力が上がります。
体温が上がると免疫力が上がる理由については、「病気にならないために体温を1℃上げて免疫力を5倍にする2つの方法」をご覧ください。
その他にも、温熱治療でよくある効果は以下のようなものになります。
- 疲労回復。
- 血行をよくする。
- 筋肉の疲れをとる。
- 筋肉のこりをほぐす。
- 神経痛、筋肉痛の痛みの緩解。
- 胃腸の働きを活発にする。
※「昭和 47 年2月2日 薬監第 28 号 厚生省薬務局監視課長通知」より
このように、人体の健康を保つうえで必要な効果が、温熱治療にはあります。
また、最大の効果である「免疫力を上げる」というのは、がん治療やその他のいろいろな病気や症状にとって一番大切で有効な効果です。
では、その温熱治療とはどのようなものなのでしょうか?
温熱治療は患部を温めるだけなので副作用がない
温熱治療は「温熱」と名の付く通り、
「患部を温める」
ことにフォーカスをした治療法です。薬や注射などは一切行いません。とにかく患部を温めることに注力しています。患部が体表面近くなのか、体深部なのかにより、温熱治療の方法も変わります。
また、温熱治療は薬や注射、もちろん手術などもしないため、副作用も大変少ないです。温熱治療の手法によっては、副作用は全くありません。
その温熱治療の方法ですが、大きく分けて3つあります。
2 自宅でできる温熱治療の3つの方法
温熱治療を行う際、大きく分けて3つの方法があります。
- 入浴で温める
- 熱で温める
- 電磁波で温める
1.入浴で温める
お風呂に使ってしっかりと体を温めるだけでも温熱治療になります。
最近はシャワーだけでお風呂を済ませてしまう方も多いようですが、毎日湯船につかれば、それだけで全身を温めることができて免疫力があがるのに、その機会を逃してしまってます。湯船には積極的に入るようにしましょう。
なお、入浴による温熱治療で免疫力を上げるには、
湯温 | 入浴時間 |
42℃ | 10分 |
41℃ | 15分 |
40℃ | 20分 |
の湯温と入浴時間が必要になります。
また、お風呂から出た後に、暑いからと言って冷たいビールを飲んだり、クーラーで冷えた部屋にいてしまっては、意味がありません。入浴後に保温する事も大切です。
入浴後は、すぐに長袖・長ズボンで体を保温してください。夏であれば、クーラーの効いてない部屋、冬であれば暖房で温めた部屋で過ごしてください。入浴後の保温は10分~15分程度で十分です。かといって、保温後に体を急激に冷やさないようにしましょう。
【免疫力がアップすると・・・】
適切な湯温と入浴時間とその後の保温をしっかりとすることで、1日1回は免疫力がアップします。1日1回でも免疫機能がしっかりと働くことで、毎日発生しているがん細胞をその日のうちに全て死滅させることができるため、ガンにかかりにくくなります。
2.熱で温める
「熱で温める」と聞くと、大きな装置が必要に思えるかもしれませんが、そんな必要はありません。ホッカイロや湯たんぽでも十分です。なお、ホット用のペットボトルがあると簡易湯たんぽがすぐに作れます。
患部にホッカイロや湯たんぽを当てて、温めてください。これだけで温熱治療になります。ただし、欠点としては、体表面近くの患部しか温めることができません。体深部に患部がある場合は熱で温めることによる温熱治療は難しいので注意してください。
その他にも熱で温める方法として医療機器などもありますが、熱で温めるのであれば、安価であり、思いついたらすぐにできるホッカイロや湯たんぽがよいと思います。
3.電磁波で温める
電磁波というと「体に悪いんじゃないか?」と思われるかもしれませんが、現在の医療現場で温熱治療をする場合、使用されているのがこの「電磁波」です。
一部の病院やクリニックで保険適用で受診できる「RF(Radio Frequency)波」という高周波の電磁波により体表面近くや体深部を温める温熱治療があります。
RF波で患部を温める温熱治療では、上記の写真にある「サーモトロンRF8(山本ビニター株式会社製)」のものが広く使われています。このような大きな機械のため、一般の方が購入するのは場所的にも金額的にも可能ではありません。
電磁波による温熱治療が自宅などではできないかというと、そうでもありません。
【遠赤外線も体を温めることに優れている】
電磁波の中には遠赤外線があります。「遠赤外線」という言葉は聞いたことがあると思いますが、RF波以外にもこの遠赤外線が温熱治療に活用されています。遠赤外線で体を温める場合、『家庭用赤外線治療器』という医療機器を使用することをお勧めします。
この『家庭用赤外線治療器』は遠赤外線の中でも特に人体によい「育成光線」というものが放射されていることが証明されている医療機器になります。
医療機器に関しては「4 自宅でできる遠赤外線温熱治療」をご覧ください。
【コラム】育成光線は太陽の光にも含まれる
太陽の光には可視光線や紫外線、赤外線など様々な電磁波が含まれます。もちろん、育成光線の含まれます。このようなことを体感したことがないでしょうか?
「日陰にいると寒いのに日向に出るととても温かい」
日陰も日向も同じ気温のはずなのですが、なぜ日向は温かいのでしょうか?それは、太陽の光に含まれる育成光線を人体が吸収することによって体が温まっていくからです。
このように特に医療機器などを使用しなくても体は簡単に温めることが可能です。ただし、太陽が出ている必要があることと、太陽の光にはその他の有害な電磁波も含まれていることが大きな欠点ではありますが・・・。
※自宅で温熱治療を行う場合は、医師の判断のもと行ってください。
3 温熱治療でがんが治る3つの理由
現在、がん治療の一環として病院やクリニックでも温熱治療が用いられています。その理由は、温熱治療がガンに対して「大変有効」だからです。
本章では『なぜ、温熱治療でがんが治るのか?』についてフォーカスしています。
1.熱に弱いことを利用してがん細胞を死滅させる
がん細胞は一般的に熱に弱く、42.5℃で死滅すると言われています。がん治療における温熱治療はこの熱に弱いというがん細胞の特性を利用して行われています。
温熱治療によりがん細胞が死滅することで腫瘍が大きくなることを防ぎ、さらには縮小させることができます。最終的には腫瘍をなくします。
2.免疫力をアップさせで自分の力でがん細胞に対抗できる
1章の温熱治療の最大の効果として紹介した「免疫力アップ」ですが、これが温熱治療のがんに対する最大の効果です。
【38℃以上でさらに免疫力がアップする】
体温が38℃以上になると、体内に「ヒートショックプロテイン」というプロテインができます。
このヒートショックプロテインには免疫力を増強させる効果があります。
- がん細胞と戦うためのNK(ナチュラルキラー)細胞の増強
- がん細胞を攻撃対象と示すための樹状(じゅじょう)細胞の増加
など、がん細胞を撃退するために必要な免疫力が増強・増加することで、自己免疫力でがん細胞に対抗できるようになります。
やはり、がん細胞を撃退するのに有効でなおかつ体に負担が少ないのは、自己免疫力によりがん細胞を死滅させることです。
最近のがん治療では、「免疫療法」といって自己免疫力を高める治療方法もあります。温熱治療は免疫療法の一部を兼ねた治療方法になります。
3.抗がん剤治療、放射線治療の効果をアップすることができる
現代のがん治療の多くは「抗がん剤治療」と「放射線治療」が主流となっています。温熱治療は、抗がん剤治療や放射線治療と併用して用いられることもあります。それは、温熱治療がこれらの治療の効果を増加させるからです。
【放射線治療との併用】
放射線治療とは、放射線により体内に非常に毒性の強い活性酸素を生み出し、その活性酸素によりがん細胞を攻撃させます。そのため、患部近くに多くの酸素が必要となります。温熱治療でがん細胞周辺を温めると、血流が良くなり、酸素量も増えます。
① 温熱治療で患部を温める
↓
② 血流が良くなり酸素が集まる
↓
③ 放射線により効率よく活性酸素が生み出される
↓
④ 活性酸素によりがん細胞が攻撃され、がん細胞が死滅する
【抗がん剤治療との併用】
抗がん剤は増殖の早い細胞に対して攻撃します。がん細胞は増殖が早いため、抗がん剤の攻撃対象となります。なお、増殖の早い細胞には正常な細胞もあります。この正常な細胞も攻撃されてしまうことが、抗がん剤の副作用です。(がん治療している患者さんの髪の毛が抜けやすくなるもの副作用が原因です。)
しかし、温熱治療により患部を温めると、その部分の血流が良くなり、血液量が上がります。そうすると抗がん剤が患部へ効率よく運ばれることになり、効果が増加します。さらに、がん細胞以外の増殖が早い正常な細胞への攻撃が減るため、副作用も軽減されます。
4 自宅でできる遠赤外線温熱治療
自宅で遠赤外線を浴びる場合、現在のところ大きく分けで2つの方法があります。
- 家庭用赤外線治療器の医療機器を使う
- 遠赤外線床暖房を使う
4-1 家庭用赤外線治療器を使う
現在、家庭用赤外線治療器として販売されている医療機器はあまりありません。
2つほど購入できるものがありますので、ご紹介します。
【オムロン社製 赤外線治療器 HIR-227】
現在、購入できる家庭用赤外線治療器のうちの1つです。首の部分を大きく動かすことができ、様々な患部に赤外線を当てることが可能です。また、90秒で温まるクイックホット方式を採用しています。
【MOZU 遠赤外線温熱治療ドーム レインボー】
2017年に家庭用赤外線治療器として認証を受けた製品。ドーム型の内側から遠赤外線を輻射します。使い方は様々で「寝ながらおなかや足、胸などに」「椅子に座りながら足に」「座りながら腰に」「立ちながら足に」など、生活のいろいろなシーンで使用可能です。
一番おすすめ!遠赤王「日だまり」
家庭用赤外線治療器のご紹介をさせていただきましたが、家庭用赤外線治療器は30分以上連続で使用することが規定上できません。それだと、日常生活で使用するには大変不便です。そこで、医療機器ではないですが、遠赤王「日だまり」が大変オススメです。
購入はこちら
オススメする理由が、この「日だまり」は先に紹介した「遠赤外線温熱治療ドーム レインボー」と同じ発熱体を用いています。要するに医療機器で使用されているものと同じものがこの「日だまり」にも使用されています。さらに、この日だまりは医療機器でないため、30分以上の連続運転も可能です。就寝中に足元においたり、2時間ドラマを見ながら温まるなどが可能となっています。
4-2 遠赤外線床暖房を使う
先ほどは、医療機器といったストーブやヒーターなどのようにものを使って温まる方法をご紹介しました。
さらにもう一つ上の普段の生活をしながら体を温める方法として、床暖房があります。
基本的に温水式や電気式の床暖房でも遠赤外線が放射されます。それは、床であるフローリング温まることにより、そのフローリング自体から遠赤外線が放射されるのです。
ただ、温水式や電気式の床暖房はそのフローリングが遠赤外線を安定して放射できるようにするまで温度を上げるには大変な時間と光熱費がかかります。
遠赤外線床暖房は効率が良い
温水式や電気式ではなく、遠赤外線床暖房というものもあります。これは、遠赤外線の効果により温水式や電気式とは全くレベルの違うスピードでフローリングが温まります。
床暖房方式 | フローリング材の温め方 | 温まる速さ |
温水式もしくは電気式 | 熱伝導による温め | 遅い |
遠赤外線床暖房 |
輻射熱による温め | 早い |
遠赤外線効果でなぜ早く温まるかについては、「美容・健康・医療で大活躍!遠赤外線に秘められた6つの効果!」をご覧ください。
オススメの遠赤外線床暖房
オススメの床暖房は「遠赤王」です。
先ほど紹介した医療機器「遠赤外線温熱治療ドーム レインボー」を製造販売しているメーカーが発売している床暖房になります。
遠赤王の遠赤外線床暖房は、医療機器に使用されている発熱体と同じ発熱体が床暖房として床下に入ります。まさに、家にいながら何も意識せずに医療機器に当たることができるような状況です。
5 がん以外の病気や症状にも温熱治療が有効
5-1 電磁波による温熱治療は血液をきれいにする
電磁波の中でも特に良いのが遠赤外線の中の特定の波長である「育成光線」です。
育成光線は人体にとても良い波長であり、健康や美容にいいとされています。
血液がきれいになることで、
- 酸素や栄養素の細胞への運搬
- 老廃物の排泄
が活性化します。
遠赤外線の詳しい効果については「美容・健康・医療で大活躍!遠赤外線に秘められた6つの効果!」をご覧ください。
がん治療以外で温熱治療を行うときは、遠赤外線による温熱治療を選択するようにしましょう。遠赤外線による温熱治療は自宅で医療機器を用いることで行うことができます。
5-2 こんなにあります!温熱治療で改善する病気や症状
特に遠赤外線による温熱治療では様々な病気や症状が現れます。
リウマチ 血行改善で、疼痛が激減し、自己治癒力がアップ |
糖尿病 血液をキレイにすることや代謝改善による症状の緩和 |
肩こり、腰痛、膝痛など 血行を良くし、代謝改善により痛みを軽減 |
血管疾患(脳梗塞、心筋梗塞など) 血液をキレイにすることや代謝改善による緩和 |
高血圧 末梢血管が拡がり血流がスムーズになり血管の負担減 |
肥満 代謝改善と発汗によるカロリー消費量アップ |
冷え性 毛細血管を活性化し、血流をスムーズにし、症状の改善 |
その他にもこんな症状に効果があります! 関節痛、血液循環障害、低血圧、老年精神病、疲労、体臭、ストレス、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症、美肌、更年期障害など |
日ごろから遠赤外線の温熱治療を行うことで、上記のような病気や症状の予防になります。
自宅でできる温熱治療に関しては、4章をご覧ください。
がん治療を目的とした温熱治療の受診方法
温熱治療は一昔前に比べると、多くの病院やクリニックで受診できるようになりました。
また、一部の温熱治療(マイクロ波やラジオ波を用いた温熱治療)は健康保険が適用されます(8回の受診が1セット)。
負担割合 | 体深部への加温 | 体表面部への加温 |
1割負担の方 | 9,000円 | 6,000円 |
3割負担の方 | 27,000円 | 18,000円 |
※金額の詳細については、受信される病院やクリニックにご確認ください。 |
温熱治療が受診できる病院やクリニックはこちら
http://www.taishitsu.or.jp/hyperthermia/hyp5.html
お近くの病院にご連絡いただき、「温熱治療を受けたい」をお問い合わせください。
温熱療法は週に1~2回の受診でOK
前出の「ヒートショックプロテイン」ですが、免疫力を増強する作用とは別に、壊れたたんぱく質(細胞)を元に戻す機能があります。これは、細胞を熱から守る(熱耐性)のと同じ作用になります。
このヒートショックプロテインの熱耐性の効果は1~3日続くので、受診後は3~4日間を空ける必要があります。
そのため、週に1~2回の受診で問題ありません。
さいごに
私自身、温熱治療の話をがん治療専門クリニックの先生から聞いたときに「治療は病院じゃなくて、自宅でもできるんだ!」と衝撃を受けました。
自宅でも温熱治療は簡単にできます。医療機器や床暖房の導入をできることがベストかもしれませんが、まずはそのような費用が掛からない、「入浴による温熱治療」から導入されてみてはいかがでしょうか?
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