がんほっとけん

2020.11.4

余命宣告はどんな基準で決められてるの?【教えて!がんサポートDr.】

がんサポートDr.:中村健二

ナビゲーター:曽我ゆり

余命宣告はどんな基準で決められてるの?

曽我

よろしくお願いします。

 

中村

よろしくお願いします。

 

曽我

今回は余命宣告はどんあ基準で?というテーマでお話を伺いたいと思います。

よく余命半年です、3か月です、とかそういうところから始まるドラマもあったりすると思うんですけど。言われた側は死刑宣告に近い感じで聞いちゃうと思うんですけど、実際余命宣告の基準とかあったりするんですか?

誰がどう決めてるんでしょうか?

 

中村

これはね、お医者さんの個人的な勘。

 

曽我

けっこうアバウトですね!

 

中村

けっこうアバウトです。

この余命の話とか人間の命の話というのは生物学的に決められるかというと、なかなか難しいです。

 

例えば第二次世界大戦でアウシュビッツ収容所に入ってた、ある精神科の先生が本に書いてたことなんですが、「連合国側が〇月〇日に私たちを助けに来てくれる、はずだ」そういう情報が耳に入ったので、なんとかしてそこまで生き延びよう!という人がいました。

周りの人は「あ、そうなの」と半信半疑。ただその人はもう完全に信じ切って、その日に救われると思ってた。

で、その日が来ました。結果、連合国軍は間に合いませんでした。ということでその人は死んじゃいました。

 

曽我

え、それは病気とかですか?

 

中村

いや、病気とかじゃなくて。自分はここまでは生きる、って思ってたんだけどそれが叶わなかったということでショックだったのか、そこまで生きられたのか解釈は難しいですけれども、そういう亡くなり方をするというのもあります。命って不思議ですね。

 

曽我

へーーーー。

 

中村

ではその逆の話をします。がんを乗り越えた方の話です。この松野さんという女性はいろんなところで「私がどうがんを乗り越えたか」というのを講演されている方です。

スキルス性胃がんといって、胃にがん細胞が広がっちゃった感じですよね。

「多臓器転移から12年。津波に飲み込まれたこの命、何かしなきゃ!」ということなんですけど(画面参照)

 

この方はがんになった、しかもスキルス性胃がんといって、今の医療では完治は厳しい、

しかも手術で食道、胃、胆管、胆のう、脾臓、腎臓の1つ、取っちゃった。

 

曽我

ほぼほぼ内臓ないですよね、、。

 

中村

ないですよね。よくそれでも頑張ってるなと。

この5年後、東日本大震災に、病院のお風呂に入ってるときになっちゃったんです。

 

曽我

えーーーー。

 

中村

もう大揺れだったのでお風呂から裸のまま放りだされちゃった。

周りの人たちにタオルかしてもらって助けてもらったと。

津波が引いたあとね、自分が生きてて、このとき余命宣告半年されてたらしいんですけど、

自分は生きてる。元気な人が波に流されちゃった。

この方旅館の女将さんだったので、料理はできるということで、そのあとの炊き出しをね、

一生懸命やってたら、ある時病院の先生に「松野さん頑張ってるね」と見つけてくれて

病院に戻ったようです。そしたらその時にがんが消えてたということがわかったんです。

 

曽我

それがよくわからないですね!がんになって入院して、手術して内臓取っちゃって入院してたら

地震が起こって、炊き出ししてるわけですから治療をしてないわけですよね。

避難所生活ですからなかなか過酷な生活をしてたと思うんですけど。

なんで消えるんでしょう、、。

 

中村

なんで消えるかっていう仕組みの話は別なんだけど。

お医者さんとしてはここまで手術して、がんとしては悪性のもので、勢いが良くて、ということで

「これは半年持つかなー、、」という方でも、何かのきっかけで、12年生きてると。今もご健在です。

ということで、個人的な先生の勘が当たることもあるけど、当たらないこともある。

 

曽我

なるほどー。

 

中村

基準ていうのは、基準になってないということです。

 

曽我

めちゃくちゃ曖昧ですね。

 

中村

曖昧です。こういう情報発信をしてくださる方が杉浦さんという方なんですけど、杉浦さん自身も28歳で腎臓がんになって、

その時のお医者さんの判断は余命半年です。

あ、余命を「よみょう」っていうのは私ぐらいの年代に多いです。国語辞典で調べると余命(よめい)です。

だから一般的には「よめい」がいいと思います。

で、杉浦さんのがんだと2年生存率ゼロということで、当時バリバリ仕事してて結婚はしてなくて。

お母さんが怒っちゃって。「息子になんて言うことを言うんだ主治医は!」と。「私が治してみせる」と。

で、あらゆることをやったらしいです。杉浦さん自身が、がんを乗り越えた人たちの話をたくさん聞いた。

超人じゃなくて普通の人たちが乗り越えてますからね。で、これなら自分も乗り越えられるんじゃないかなと。

話を聞けば聞くほど自信がついてきて、もう今20年目。

余命半年の人がもう20年目ですよ。

 

曽我

もう、、余命とはなんだ、って感じですね。

 

中村

なんだ、ですね。

さっきの松野さんの話も、杉浦さんがインタビューしてみんなに広めてくれてるわけ。

ということで、余命の話を聞いたならば「厳しいな」ということは思ってもらっていいかもしれない。

でもそれは先生の思い込み、かもしれない。

 

曽我

なるほど。

 

中村

その思い込みを自分も思いこんじゃったら、最初のアウシュビッツの、国連軍が来るって期待してる人たちと同じになっちゃう。

 

曽我

あー、自己暗示みたいなものですかね。

 

中村

そう、自己暗示の力も非常に強いので、命に関しては。

そこはもう帳消しにして。

厳しいというメッセージは受け取るけれども、何か月とかそういうのは帳消しにしたほうが

色々な意味で次の展開が期待できると思います。

 

曽我

余命宣告をされるとガツンときますよね。

自分も来ると思うんですけど、これを知ってるかどうかで気持ちが違ってきますね。

 

中村

ですね。何度も言いますけど、厳しいことは間違いない。

もうひとつは「この先生に任せておくと厳しい」のは間違いない。

 

曽我

あーー、なるほど。その先生はそう思ってるから、、

 

中村

そう、信じ込んでるから。

「私の経験上、半年は持たせてあげられるかもしれないけど、それ以上は経験ありません」ということだから。

信頼してる先生ならそれでいいですよ。半年間先生よろしくお願いしますって。

だけど、こんなに元気なのになんで私半年後に死ななきゃいないのっていうときは、セカンドオピニオンとか。

 

曽我

他の先生だったら違うかもしれないってことですよね。

 

中村

そうです。

やってみましょうかと。その先生にはそう言われたのかもしれないけど、こういう風に乗り切った人いますよと。

あなたもチャレンジしてみますかと言ってくれる先生を探すっていうのもあり。

ご家族の方も「半年って言われちゃったから財産どうしようか」とか、「相続どうしようか」とか動いちゃうと、

その路線で行っちゃいますから。

 

曽我

確かにそうですよね。家族に「お父さんは半年で亡くなるんだ」って思われてたら「俺は半年で死ななきゃいけないんだ」って

気持ちになっちゃいますよね。

 

中村

なっちゃいます。そこはよく気を付けてください。

もうひとつ。切り口変わりますけど、お葬式。

亡くなったとにお葬式しますよね。亡くなる前にするお葬式知ってます?

 

曽我

生前葬ですか。最近ちょくちょく聞きますね。

 

中村

そう、生前葬。

今の話からするとえっと思うかもしれませんが、、

余命半年と言われました、抗がん剤やったり色々治療しました、治療ばっかりやってると、

あとのこと、後始末で家族に迷惑がかかるので、まだ元気な間に家族に迷惑をかけないうちに、

相続の問題とかご挨拶とかやってしまおうと。

その一つとして生前葬を選ばれる方もいます。

余命宣告されたし生前葬やるわーって。そして生前葬終わりました。

お礼言ったりして、お別れして、ひとくくり終わったら、元気になっちゃったという人もいるんですよ。

 

曽我

へー、元気になるのはいいことですからね。

 

中村

いいことです。

要するに人間関係とかしがらみとかをひとくくりつけてしまうことに、治療的な意味があると。

 

曽我

へーーー。

 

中村

頭の中でずっと気にしてたこととか、大切な人にありがとうって言えなかったとか、そういうことが生前葬を機会に

やりたいこと全部やったと。そうすると脳がある意味ストレスから自由になるんですよね。

そうすると体中のバランスがよくなる。

 

曽我

はーー、なるほど。

 

中村

体中のバランスが良くなるってどういうことかというと、自律神経が整う、血流が良くなる、局所的な低体温、低酸素が解消され、

がんが嫌いな状況が生まれてくると。

 

曽我

こう考えると病気って色々つながってるんですね。一部だけ治そうと思っても難しいんですね。

 

中村

そうそう。

余命宣告はうまく使ったらいいってことですよ。

 

曽我

そこまで落ち込むことはないってことですね。

 

中村

そう。そこから生還したら、ヒーローですよ。

私ね、余命半年って言われたんですよって。

10年後にケラケラ笑ってたら、みんな尊敬しますよ。

 

曽我

確かにそうですね!

 

中村

どうしたんですか、ぜひ話を聞かせてくださいってなりますね。

 

曽我

ヒーローになれるチャンスと。

 

中村

そのチャンスが来た!と。

そう思っていただければ。

 

曽我

とてもいいお話が聞けました。

ありがとうございます。

 

 

 

 

 

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