ここ数年夏は厳しい暑さが続いていますね……。去年あたりからは「節電も大事ですが、命を守るために我慢せずにエアコンをつけましょう」という声も増えてきたような気がします。
確かにここ数年の暑さは命の危険を覚える程なのでエアコンとも上手く付き合っていかなくてはいけないと思いますが、一方で「エアコンは冷えすぎてしまう」、「つけないと暑いけど、つけると寒い」という声も多く聞かれます。
エアコンは快適ですが冷えすぎてしまった時はどうすればいいのでしょうか?
また、冷やしすぎないためにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では冷えてしまった体を温める方法、冷やしすぎないためにはどうしたらいいのかをお伝えします。
目次
1 体を温めるためには?
1-1 エアコンで冷えすぎないように
現代の夏はどこもかしこも冷やされています。オフィス、電車、ちょっと入ったコンビニやスーパー、どこでもエアコンが効いていますよね。私たちの体は寒いところに長時間居ると体温を維持しようとし、血管は収縮します。
そうすると血液の巡りが悪くなり体は冷えていきます。また、室内が寒すぎると外と中の温度差に対応しきれず不調のもとにもなります。自宅ならともかく、オフィスや電車、スーパーなどは自分の一存ではエアコンの入り切りや設定温度変更は不可能ですよね。そのために冷えない自衛が必要です。
ポイント① エアコンの吹き出し口に注意
吹き出し口から直接出てくる冷たい風は何より体を冷やしてしまいます。オフィスなどで吹き出し口にあたるところに席がある場合は吹き出し口につけるカバーなどを付けるなどの対策で直接体に冷房の風が当たるのを避けましょう。
ポイント② さっと羽織れる防寒グッズを持ち歩こう
カーディガンやストールなどさっと羽織れるものは必須です。寒いのを我慢するよりさっと羽織って冷えすぎるのを防止しましょう。
- オフィスなどで防寒する時は首元、お腹、足首を特にガードするのがポイントです。ストールやブランケットを上手く活用しましょう。
1-2 部分的に温める
・ふくらはぎを温める
ふくらはぎの冷えを普段から意識している人はあまり居ないのではないでしょうか。ふくらはぎは構造的に冷えやすい場所であり、筋肉が少ないため熱も生産されにくい場所です。
ですが、ふくらはぎには下半身の血を心臓に押し戻す「第二の心臓」の役割があります。ふくらはぎが冷えて血行が悪くなってしまうと、この第二の心臓のポンプ機能も低下し血行が悪くなってしまいます。
サポーターで冷やさないようにする。足湯などで温めましょう。
・首を温める
首を温める事は頸椎のゆがみを正すことに繋がります。すると脳への血流が良くなるため自己治癒力をつかさどる脳幹が活性化します。
脳幹は自己治癒力を司る部分なので、ここが活性化すると血行が良くなりそれによって体の機能改善も期待ができます。市販の首の温めグッズやお湯を入れたペットボトルを使う「ペットボトル温灸」を活用しましょう。
・目を温める
目を温めると目の周りの筋肉がほぐれ血行が良くなります。これは目の疲れの改善やドライアイ改善に有効です。また、目の奥には自律神経を司っている部位があるため、そこを温めることで副交感神経が優位になりやすくなり全身の血行改善にも有効です。
1-3 全身を温める
・半身浴をする
入浴は手っ取り早く体を温める方法です。ですが、熱すぎる温度だったり、そのお湯に長時間入ってしまうと体の負担になります。
オススメなのは38℃~39℃くらいのぬるめのお湯にみぞおちから下まで入る半身浴です。ぬるくても20分ほど入っていると温まってじっとり汗をかいてきます。汗をかきすぎないうちにお風呂からあがるようにしましょう。
・足湯をする
湯船に浸かるのは服を全部脱がなくちゃいけないし、お湯を溜めるのが面倒!という方には足湯もおすすめです。1-2の項目でも書きましたが、足湯でふくらはぎを温めることは全身の血行改善に役立ちます。足湯のやり方は
の記事なども参考になさってみてください。
1-4 冷えない服装をする
温めに適した服装はいくつかのルールがあります。ぜひ日々の服装に意識して取り入れてみましょう。
・体幹部を温めよう
体を温めるのに最も大切な部分はお腹や腰回りといった「体幹」です。体幹は大切な臓器があり、エネルギーを作る重要なところです。夏もここだけは冷やさないように気をつけましょう。体幹を包み込んでくれるベストや腹巻は冷やさないための便利アイテムです。
・上半身より下半身を温めよう
漢方には「頭寒足熱」という言葉があります。「頭は涼しく、足元は温かい」のが健康な体の状態です。
ですが、体が不調になってくると熱は上にのぼる性質があるため頭はのぼせ、足先は冷えるという真逆の状態になってしまいます。靴下やタイツ、レッグウォーマーなどを活用して意識的に足元を温めましょう。
・締めつけのない服を選ぼう
体を締め付ける服装は血の巡りを悪くするため、体を冷やし、むくみや骨盤のゆがみの原因になります。どうしても着たい人は締め付ける箇所を減らす、家ではゆったりした服装を心がける。という対策をとりましょう。
・夏と秋の服装一例
2 冷えからくる症状
「未病」という言葉を聞いた事はありますか?漢方の言葉で「病気の一歩手前の状態」のことです。調子は悪いのに病院で検査をしても何も見つからず対処ができない。…でもやっぱり身体は不調…という状態です。「冷え」は未病の代表です。
冷えている状態は全身の血行が悪い状態で血行が悪いことは身体の様々な不調を引き起こします。
2-1 隠れ冷え性チェック
現代は「隠れ冷え性」の人が増えています。以下の「隠れ冷え性チェック」をやってみましょう
- お腹やお尻、太ももに手を当てると冷たい
- 平熱が35℃台である
- 目の下にクマがある
- 上半身に汗をかきやすい
- 寒い時でも手足がほてる
- 階段よりもエスカレーターを選ぶ
- ペットボトルを常に持ち歩いている
- 肩こりや片頭痛に悩んでいる
- 湯船に浸からず、シャワーで済ませることがおおい
- 足が熱くて眠れないことがある
- 立ち仕事、あるいは座り仕事であまり動かない
一つでも思い当ったら注意してください!
現代は昔より冷えやすい生活習慣を送らざるを得ません。自分が冷えているという自覚がある人はまだ良いのですが、中には「顔や足がほてるから自分は暑がりだ」と思っている人もいます。こんな人こそ要注意!
お腹を触ってみて冷たく感じたらそのほてりは「冷えのぼせ」という冷え性がさらに進んだ症状です。当てはまるかな?と思った方は今すぐ改善を!
2-2 冷えていることで起こる不調
・美容に悪影響
肌の角質は約4週間で新陳代謝を繰り返し新しいものにうまれ変わります。これを「ターンオーバー」と言います。ターンオーバーは冷えて血流が滞ると正常に働かなくなります。これによって肌の乾燥、シミ、シワなど女性にとって大敵な肌トラブルが加速されます。
・生理痛、生理不順の原因
子宮やお腹や腰が冷えてしまうと子宮筋が縮こまり血行が悪くなります。これが日常的に続くと生理の時にこの子宮筋が必要以上に縮まり、痛みの原因や経血がうまく流れない原因になります。それを放置すると子宮筋腫や子宮内膜症の原因になってしまうことも……
・ガンになりやすくなる
ガン細胞は体温が35℃台の時に最も活性化すると言われています。また体温が低い時は身体の免疫力も正常に働きません。平熱が35℃台の低体温の方はそれだけでガンになるリスクも高く、病気にもなりやすいと言えます。
・様々な身体の不調
『体が冷えている状態』=『血行が悪い状態』
です。血行が悪いということは栄養素がきちんと運ばれず、老廃物も回収されない状態です。それによって体の臓器は正常な働きができず不調になってしまいます。それを放置すると肩こり、腰痛、不眠、便秘、むくみ、慢性的なだるさなどありとあらゆる体の不調に繋がっていきます。
3 冷え解消は日々の生活から
「結局そこ?!」と思われるかもしれませんが、「冷えている状態」はあなたの今までの生活習慣が積みあがった結果です。という事は少しでも生活習慣を変えれば冷え状態は変わっていくという事です。
軽く見られがちな「冷え」ですが、放っておくと「未病」が「病気」の状態になってしまいます。そうなる前に対策を取りましょう。とは言ってもストイックに日常生活を変えるのは中々難しいもの。
この章では日常生活をちょっとだけ変えて冷えを撃退する方法をお伝えします。
3-1 食べ物は体の土台
・発酵食品を意識して摂る
みそやしょうゆ、納豆、漬物などの発酵食品は腸内環境を良くしてくれるので老廃物をすっきり排出して冷えの改善に効果があります。また、免疫力を上げたりする効果もあります。
「毎日発酵食品を食べれば冷えの改善に効果があります」という医師もいる程です。毎日の食卓に発酵食品を意識して並べることを心がけましょう。
・朝一杯の白湯を飲む
体が冷えていると朝にも弱くなってしまいます。
毎朝コップ一杯の白湯を飲むことで胃腸が温まり前日の残留物を流そうとするため便秘改善にも有効ですし満腹感も得られて食べ過ぎの防止になるなどいいことづくめです。
・白い食べ物と黒い食べ物はバランスよく
食べ物には陽性食材と陰性食材があります。
漢方の世界では体を温める食材を陽性食材、冷やす食材を陰性食材といいます。どちらかに偏ることなくバランスよく摂るのが大事です。
陰性食材の特徴
温かい土地や夏に採れる |
白や青など色が薄い |
水分が多い |
糖分が多い |
陽性食材の特徴
寒い土地や冬に採れる |
黒や赤など色が濃い |
水分が少ない |
塩分が多い |
陰性食材 | 陽性食材 |
干しシイタケ | トマト |
大豆 | きゅうり |
こんにゃく | スイカ |
里芋 | なす |
しょうが | みつば |
食材に関してはこちらの記事も参考になさってみてください。
3-2 少しだけでも体を動かそう
・ウォーキングで下半身を動かそう
下半身には全身の筋肉の7割がついていると言われています。ここを積極的に動かせば温まりやすい体になります。下半身を手軽に鍛えるにはウォーキングが効果的です。
足腰がよく動くように大きな歩幅で一定のリズムで歩くように心がけてみましょう。わざわざ特別なウェアやシューズを用意しなくても、まずは一駅前で降りて歩いてみる。など始めやすいところから始めましょう。
・ストレッチも有効
ストレッチも軽い運動としては有効です。以下は「真向法」という日本のお寺で生まれたお辞儀をもとにした体操です。簡単なのでぜひやってみてください。
第一体操
1.かかとを合わせて座りかかとと股の間を握りこぶし一つ分あける
2.背中をまっすぐにのばし、肩の力をぬく
3.息を吐きながらゆっくり上半身を前に倒す
4.ゆっくり元に戻す。これを10回繰り返す
第二体操
1.両膝を伸ばして座り、足首をできるだけ手前にそらせる。
2.背筋を伸ばしたまま息を吐きながら前に倒す
3.元に戻す。これを10回繰り返す。
第三体操
1.膝を伸ばして足を120~130度くらい開き足首を手前に反らせる。
2.背筋を伸ばしたまま息を吐きながら上半身を前に倒す。
3.元に戻す。これを10回繰り返す。
第四体操
1.正座の状態から両足をお尻の幅だけ広げ、その間にお尻をおろす
2.背筋を伸ばし、肩の力を抜く
3.ゆっくりと後ろに倒れ両腕をまっすぐ伸ばして両耳につける。このまま腹式呼吸(深い呼吸)を約一分間行う。
3-3 日常生活でこんなところを意識してみては?
・心にダメージを受けると体は冷える
東洋医学には「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があるそうです。これは心と体は本来ひとつのものであり、お互いに強く影響しあっているという考えです。
強いストレスを感じた時、手先が冷たくなったことはありませんか?また、寒くて体が冷えている時は何をするにも億劫に感じませんか?このように体と心はお互いに影響しあっています。
つまりストレスを感じている状態は体も冷えがちになってしまうということです。ゆっくり深呼吸をしてみたり、口に出す言葉を意識して変えてみるのも一つの冷え対策です。
・身体のケアも冷え対策
手荒れ、カチカチになったかかと、ひじやひざのカサカサなど末端をケアすることも冷え対策に有効です。
「なぜ?」と思われるかもしれませんが、これらのトラブルは体からのSOSです。血が足りなくなった時、体は生きるために重要な内臓に優先的に血を集めようとします。そのために末端は後回しになって代謝が悪くなり、荒れてくるという悪循環が起こります。
普段からクリームや乳液などでケアしておけば体もそこに血を行き渡らせるエネルギーが少なくて済みポカポカ体質に一役買うことになります。
まとめ
体を温めることは構えて特別なことをするというより、日々の生活の中で無理なく取り入れられることである方が重要です。
せっかく素晴らしい温め方法を知っていてもそれが続かなかったら意味がありません。無理なく温めを続けられる自分なりの方法を見つけましょう。
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