突然ですがあなたは手の表面温度を知っていますか?ちなみに私は34℃でした。(表面の温度を測れる温度計で計ってみました)
冷え性の人は手の表面温度が20℃台の人も居るようですが、大体の人は30℃台のようです。
そして今度は手のひらで自分のお腹を触ってみてください。
……どうですか?温かく感じますか?同じ体温だと思いますか?冷たく感じますか?
通常人間は身体の中心の方が体温が高いものです。ましてや普段は服で隠されているお腹は手のひらより体温が高くて当然です。
ですが、お腹が冷えていると手のひらで触っても冷たく感じます。あなたがお腹を触ってみて冷たいと感じたらあなたのお腹は冷えています。今すぐ対策が必要です。
冷たいと感じない方は今の時点でお腹が冷えているわけではありませんので、こういうこともあるんだと思ってください。
この記事ではお腹を温めるとどんな効果があるのか、逆に冷やすと何に良くないのかという事をご説明します。
目次
1 身体が冷えるとどうなるのか
1-1 身体が冷えている状態とは
冷えている状態=血管が収縮して血行が悪くなっている状態
です。血行が悪くなれば血管内に老廃物が溜まり血液が汚れます。もしくは
冷えている状態=体内酵素の働きが低下している状態
です。体内酵素の働きが低下すると代謝が低下して排泄能力が下がり、やはり血液が汚れます。
汚れた血液が体内を循環すると細胞や組織が損傷し病気を起こしやすくなります。
1-2 身体に水が溜まる「水毒」と冷えると悪化する症状
東洋医学には「気・血・水(き・けつ・すい)」が体内を巡ることで身体が正常に機能するという考え方があります。
気はエネルギー、血は血液、水は体液です。この水が体内に必要以上に溜まってしまい身体に悪影響を及ぼすことを「水毒」といいます。
水は身体を冷やしますから、この水毒が身体に溜まってしまっている人は「冷えやすい人」と言うこともできるでしょう。
冷えると身体に起こる不調
・腸炎
お腹を冷やすと下痢をしやすくなるように、腸炎の症状に見られる下痢は余分な水分を排出して腸を温めようとする反応です。さらにあまりに胃腸が冷えすぎるとその働きが低下し便秘になることもあります。
・痛み
水、冷え、痛みの3つは密接に関係してます。頭痛、腰痛、神経痛などの痛みを伴う症状は冷えが原因で起きることが多いのです。痛みの部分が熱を帯びることがあるのは温度を上げて身体を治そうとする身体の反応です。
・アレルギー
アレルギー症状も低体温が引き起こしている可能性があります。結膜炎→涙が出る、鼻炎→鼻水、くしゃみが出る、アトピー→湿疹が出るという水分を排出しようとする症状はそれによって体温を上げようとしている身体の反応です。
・めまい、耳鳴り
めまいや耳鳴りは耳の中のうずまき巻(平衡感覚を司る)にリンパ液、つまり水分が多くなりすぎることで起こると考えられています。
・肥満
女性の太り方の多くは「洋ナシ型」です。これは身体が冷えて水を溜め込んだ水太りタイプとも言えます。水分の摂りすぎは身体を冷やして脂肪が燃焼するのを防ぎます。
2 身体を温める方法
2-1 まずは湯船につかること
身体を温めるには「ぬるめの湯にゆっくり浸かる」か「熱めの湯に短時間浸かる」かの二種類があります。
どちらも温める効果はあるのですが下の表にそれぞれの特徴をまとめてみました。
熱い湯(42℃以上) | ぬるい湯(38~41℃) | |
自律神経 | 交感神経が働く | 副交感神経が働く |
心拍(脈拍) | 活発になる | ゆるやかになる |
血圧 | 急に上昇する | 不変かゆっくりと低下する |
胃腸の働き |
低下する (胃液の分泌が低下) |
活発になる (胃液の分泌促進) |
気持ち | 緊張する | ゆったりする |
入浴時間 | 10分以内 | 20~30分 |
適応症 |
胃酸過多、寝起きの悪い人の朝風呂に。 食慾の抑制に。 |
不眠症、ストレスの多い人、胃腸虚弱 食慾不振の人 |
熱いお湯、ぬるい湯、それぞれにメリット、デメリットがありますので体調によって使い分けましょう。
2-2 入浴の7つの効果
①血行促進効果
ぬるめの湯には血管を拡張する作用があるため、入浴すると血流が良くなり内臓や筋肉へ酸素や栄養がスムーズに運ばれます。また、腎臓から老廃物が排泄されやすくなるので血液が綺麗になり結果的に病気の予防につながります。
②利尿効果
湯船に首まで浸かると500kgもの湯の水圧が身体にかかり、皮下の血管などが圧迫されて血行がよくなります。
すると、心臓が押し出す血液量も増え腎臓などの臓器の血液循環が良くなり、その働きが活性化するため排尿が促されます。
③美肌効果
入浴などで体温が上がると皮脂腺から皮脂が分泌されます。この皮脂には皮膚表面の汚れやばい菌を洗い流してくれる働きがあります。また汗腺から出る汗と皮脂が混ざり合うことで皮脂膜が作られ潤いのあるしっとりとした肌に。
④体重軽減効果
湯船に浸かると浮力の影響で体重は通常時の10分の1以下になります。すると筋肉や関節が普段の重圧から解放され心身がリラックスします。また、足腰に痛みがある人は動作がラクになるためリハビリ効果が期待できます。
⑤リラックス効果
ぬるめのお湯にゆっくり浸かるとストレスなどの緊張を和らげる作用があるアセチルコリンというホルモンが脳内から分泌されます。その作用で心拍数もゆるやかになるので入浴後は寝つきがよくなり不眠防止につながります。
⑥免疫力UP効果
入浴で体温が上昇すると細菌などを撃退する免疫細胞の活動が活発になります。ただこれは入浴すると疲れる程体力が低下している人や病気の時は逆効果になる可能性があるので注意が必要です。
⑦血液サラサラ効果
38~41℃のぬるめのお湯に浸かると血栓を溶かす作用があるプラスミンという酵素が多量に生成され血液サラサラ効果が得られます。血栓は脳梗塞や心筋梗塞の一因なのでその予防にもつながります。
2-3 温めるにはこんな方法も
入浴の効果は浮力効果や水圧効果などで独自のものもありますが、湯船を洗って、お湯を溜めて……となると毎日複数回実施するのは難しいかもしれません。そんな時は別の身体の温め方法もあります。
・目元を温めてみる
目元を温めるとリラックス効果などがあり、副交感神経系が優位になりやすくなります。私たちは日頃目を酷使していますので、お疲れの目を労わってあげてください。目を温めることはこちらの記事も参考になさってみてください。
・足湯をしてみる
足湯は湯船に湯を溜める必要が無く、バケツなどでできるので気軽に温められます。足湯についてはこちらの記事も参考になさってください。
・機械の力を借りてみる
身体を温める道具も色々発売されています。自分に合ったものを使いたいものですね。それにはこちらを参考になさってみてください。遠赤外線は身体を温める効果が高いのでオススメです。
3 温め食材と温めレシピ
3-1 これを覚えればOK!温め食事の6つのルール
1・北方産のものを食べる
寒い地域ではその環境から身を守るため身体を温める食べ物が必要になります。必然的に北方の寒い地域では身体を温める食べ物がよく収穫される傾向があります。逆に南方の食べ物は身体を冷やすものが多いので注意が必要です。
2・硬い触感のものを食べる
水分が少なく、硬くしまったものほど身体を温め、やわらかいものは身体を冷やす傾向があります。例えば牛乳は牛乳のままだと水分が多く柔らかいので身体を冷やしますが水分を取り除き硬い状態になったチーズは身体を温める性質に変わります。
3・赤、黒、黄、橙の色を選ぶ
赤、黒、黄、橙など暖色系の食べ物は身体を温めます。赤身の肉や魚、チーズ、卵、黒豆などがそうで黒っぽい色のものが多い根菜類も身体を温める食材です。逆に葉物野菜や青汁、白砂糖など、青、白、緑など寒色系の食べ物は身体を冷やします。
4・酢を控え、塩を多く摂る
酢は身体にいいとされていますが、漢方では身体を冷やす食材に分類されています。そして、塩は温める食材に分類されています。というのも塩には水分を排出させる働きや血圧を上げて身体を温める作用があるため。ただし摂りすぎは高血圧の原因になってしまいますので適度に取り入れましょう。
5・アルコールなら日本酒やワインを
お酒を「身体を冷やさない」という観点から話すなら日本酒、赤ワイン、紹興酒、ブランデーなどがおすすめです。ビール、ウイスキー、白ワインなどは身体を冷やす食材です。
ですが、ウイスキーはお湯割りにすれば温め食材になります。
6・身体を冷やす食べ物は温めてから摂る
身体を冷やすからといってその食材を排除してしまうのは問題です。バランスよく食べることが一番。煮る、炒めるなど火を通して温めて食べるようにしましょう。
3-2 作ってみよう!簡単あたためレシピ
・しらたきのエスニック風和え麺
材料(二人前)
しらたき 1玉(200g)
かつおぶし 5g
しょうゆ(またはナンプラー) 小さじ1
ザーサイ 20g
桜えび 大さじ2
炒りごま 小さじ1
オリーブオイル 小さじ1
パクチー 少々
作り方
①フライパンにオリーブオイルを熱し、桜えびを炒める
②①にしらたきと刻んたザーサイを加えて炒め、しょうゆかナンプラーで味をととのえる。器に盛って、かつおぶしと炒りごま、刻んたパクチーを散らす。
・サバカレー
材料
サバの水煮缶 1個(200g)
ホウレンソウ 1/4束
タマネギ 1個
ショウガ 親指大
ニンニク 1/2片
トマト水煮缶 1/2個(200g)
カレー粉 大さじ1強
オリーブオイル 大さじ1
塩・コショウ・しょうゆ 少々
作り方
①ショウガ、ニンニクはそれぞれみじん切りに、タマネギは繊維にそって薄切りにし、オリーブオイルを熱したフライパンで炒める。
②①にトマトの水煮缶を加えて弱火~中火で10ほど煮込み、カレー粉、サバの水煮缶、ざく切りにしたほうれん草を加えてさらに5分ほど煮る。この間適宜、水(分量外)を加えて焦げ付かないようにする。
③塩、こしょう、しょうゆで味をととのえる。
まとめ
私達は気づかないうちに身体を冷やしている事も多く、それを重要なこととは考えていない人も多いですが、身体が冷えてしまうのは様々な不調の原因になります。
日常生活を少し意識して「冷やさない、温めるスタイル」に変えるだけでも今の不調が変わってくるかもしれません。
ぜひ今日から「温めること」を意識してみてください。
コメント