がんほっとけん

2020.11.4

低体温・低酸素は体に悪いって聞くけど、どういうこと?【教えて!がんサポートDr.】

がんサポートドクター:中村健二

ナビゲーター:曽我ゆり

低体温・低酸素 書き起こし

曽我

今回は私は声だけ出演です。よろしくお願いします。

 

中村

よろしくお願いします。

 

曽我

最近よく低体温、低酸素という言葉を健康番組とかで聞くようになったなーと思うんですけど。低体温は体温低いことかって想像つくんですけど、じゃあ低酸素ってなんなのかとか、、。それらが体に対してどれぐらい悪いのかというのがイマイチわからないんですけど。

 

中村

低体温、低酸素になる自然な環境というと、山に登ることですね。

 

曽我

確かに、山に登ると空気薄くなってきますね。

 

中村

富士山とか高い山に登ると、空気は薄くなるし、寒くなります。

厳しいですよね、倒れちゃう人もいます。高山病とか名前もついたりしてます。

人間の体のことを考えると、低体温、低酸素は厳しいですよね。

 

曽我

なるほど。でもそれだけだと、高知トレーニングという言葉もあるように、鍛えられたりしないんですか?

 

中村

身体全身で慣れていくというのはアリだと思います。

高い山に住んでいる人たちもいますし、登山家も慣れています。

ただ、体の中で部分的に低体温、低酸素になっちゃう。

 

曽我

部分的に?

 

中村

部分的に。これはよくあることなんです。

曽我

あ、よくあるんですか?

 

中村

例えば体の臓器の中で、心臓とか肝臓とか腎臓とかは、特に大切な臓器なのでずっと機能させ続けなきゃいけないですよね。

 

曽我

たしかに。止まったら死にますね。

 

中村

止まったらヤバイですよね。

あと、温かい部屋から寒い外に出たら手がかじかみますよね。

体がブルブル震えたり。

放っておくと体の熱が外に出て行ってしまうので、そうさせないように血管をキュッとしめて血液が流れないようにしちゃうんです。それで心臓とか肝臓とか腎臓にたっぷり血液が流れるようにします。

 

ライオンが現れたとか、偉い人に怒られたとか、そういうときも体がギュッと緊張するじゃないですか。そういうときも筋肉とか頭とか糖分や酸素を優先的に使うということで、血流が変わる。

体の血液の量って決まってますから、例えば頭のほうにがっと持って行って、今は内臓は勘弁してねーとか。

 

曽我

なるほど、どこをメインに血液を使うかと。

 

中村

そうです。血圧もあるし血流もあるし血液の太さもあるし。頭が瞬間に判断をして使うべき臓器、システムがうまくいくように調節してるんです。

だから集めたところはたっぷりあるけど、動員させられちゃったところは低体温、低酸素になっちゃうわけ。

 

曽我

そうですよね。いままで来てたものが来なくなっちゃうわけですもんね。

 

中村

そう。一時的に低体温、低酸素になるのは日常的にあります。

いいとか悪いとかじゃなくて、助け合いの精神でそうなってます。

 

で、がん患者さんが低体温、低酸素になるのはよくないと言われているのはどうしてか、というところです。

 

曽我

はい、どうしてでしょう。

 

中村

これです。ワールブルグ効果。

 

曽我

ワールブルグ効果?これはなんですか?

 

中村

オットー・ワールブルグさんというドイツのお医者さんです。

この方ががん細胞の研究をしてて、こういうことを見つけました。

「がん細胞は酸素が十分に存在しても

ブドウ糖の取り込みと解糖系が亢進し

大量の乳酸が産生され

ミトコンドリアでの酸素呼吸が抑制されている」

 

曽我

日本語としては読めるんですけど、意味が全然わかりません(笑)

 

中村

これはね、ミトコンドリアというのは後で説明しますけど、エネルギーを出すエンジンみたいなものです。細胞のエンジン。細胞全体を動かしている、細胞の中の器官なんですけど。

ここが、酸素を使っていないと。

がん細胞の中にあるミトコンドリアはどうやらうまく動いていないぞと。いうことを発見しました。

 

曽我

なるほど。

中村

酸素を使っていない。

 

曽我

では、何を使っているんですか?

 

中村

それはブドウ糖です。

 

曽我

がん細胞は酸素の代わりにブドウ糖を使っていると。

 

中村

そうです。酸素の代わりにブドウ糖をたくさん使って、、「解糖系」という言い方は少し難しいんですけど。ブドウ糖をエネルギーの要素にするっていうエンジンがひとつあって、それを解糖系っていいます。さらに酸素を使ってエネルギーを出すっていうのがミトコンドリアです。細胞というのはダブルエンジンになってるわけ。ツートップ。

ブドウ糖を使ってエネルギーを出すほうと、酸素を使ってエネルギーを出すほう。

二つあって、普段は両方使ってます。

 

曽我

普通の細胞は両方使ってるんですね。

 

中村

両方使ってる。

よく有酸素運動は体にいいんですよーとか、無酸素運動は乳酸溜まって体が疲れちゃうとか。

 

曽我

あー、聞いたことありますね。

 

中村

有酸素運動というのは、ミトコンドリア側の役割です。

無酸素運動というのは解糖系を使ってます。

それぞれ特徴がありまして、運動選手とか瞬発力が必要なときは解糖系をよく使います。

筋肉たくさん使ったりすると、乳酸が溜まってねーとか言いますよね。筋肉硬くなっちゃったり。これは、ブドウ糖をたくさん使った解糖系だから。

 

有酸素運動、適度に心拍数上げて血流良くすると、健康にいいですよ、痩せますよ、とか言いますよね。それはよくミトコンドリアを活用しているということ。

私たちの体はそういう使い分けができるようになってます。

 

で、がんはミトコンドリアを嫌ってる、ミトコンドリアを使うことを嫌ってる、ということをこのオットー・ワールブルグ先生が発見して、これが定説になったんですね。

 

曽我

なるほど。これは現在も定説なんですか?

 

中村

現在も定説です。

こういうことをどう考えたらいいか、ということが低体温、低酸素につながってきます。

 

 

鶏が先か卵が先かの話になるんだけど、

「低体温低酸素だからがんになるのか」

「がん細胞がそういう環境を好むのか」

 

曽我

あー、どっちなんでしょう。

 

中村

高い山に登ったときのことを考えて、体全体が低体温低酸素に慣れていくのはそんなに支障はないですね、じわじわいけば。慣れていきますね。

 

だけど例えば、みんなが十分な酸素がる、温かいお風呂に入れる、というときに、私だけ空気の汚い狭い部屋に押し込められて風呂にも入れてもらえない、という区別をされちゃったら、、。ほかの人はご飯も食べれる、お風呂も入れる、日光浴もできる、というのに私は部屋に閉じ込められて、ろくなご飯も来なくていじめられてるなーと。

そうしたら、いじけてきますよね。

 

曽我

そうですね、なんか病気になりそうですね。

 

中村

そうですよね。それが体で起きてるんです。

 

曽我

なるほど。いじけちゃってる。

 

中村

いじけちゃってる。要するに体のシステムは必要なところに血管を広げたり縮めたり血圧を上げたりなんかして、血液をいつも均等にしているわけじゃないんですよ。

 

慢性的なストレスがあったりすると、人間関係悪くて会社行くの嫌だなとか。

家族で私だけ介護とか押し付けられて嫌だなとか。

生活習慣で食べ物を偏って食べて、細胞が必要な栄養素が摂れてないとか。

なんか変だということで厳しい環境が体の中にできちゃったりするんですよ。

そういう部分的な厳しい環境を作ることで、、厳しい環境をなんとかしようと調整する機能があるんだけどね、酵素が特別に作られたりとか。

だけどあんまりそれが長く続くと、調整する酵素も働かなくなってくるし、

「もういいよ、俺はそういう厳しい環境で生きなきゃいけない宿命なのね」といじけてくる。

 

曽我

いじけて、いじけっぱなしになっちゃいますね。

 

中村

そう。で、いじけっぱなしで、それに適応するように、「じゃあこういう風に生きるわ」みたいな。「こういう形になるわ」みたいな。

 

曽我

ぐれちゃったんですね。

 

中村

ぐれちゃった。ぐれちゃったまま居場所を作り始める。

 

曽我

なるほど。

 

中村

で、時々ぐれてない人たちに「俺にも温かいコーヒー持ってこい」とか注文つけて、もってきてもらったり。そういう関係が体の中に出来上がっちゃうわけ。

あるところで気づいてあげれば、「あ、やっと気づいてくれたか」と。

 

曽我

更生の余地があると。

 

中村

更生の余地があるんだけど、あんまりほったらかしてると「ちょっと脅かしてやらないとわからないみたいだな」というのがある意味「がん」ですね。

ほっとくと「俺グレて死んじゃうもんね」みたいな。

 

曽我

なんか、ちょっとよしよししてあげたくなるけどやっかいですね。

 

中村

そうです。こういう物語を重ねると、さっきの鶏と卵という観点から言うと、「がん細胞はそういう環境に適応してできちゃった」と、説明できるんじゃないかというのがこのワールブルグ効果からの考え方なんです。

 

曽我

なるほど。どっちが先かわからないけど、そういう環境にいると、それに適応しようとしてがん細胞ができちゃう可能性があるよということなんですかね。

 

中村

そうそう。なのでこのお題「低体温、低酸素が体に悪いか」って言われれば、瞬間的にはありますよ。寒いところ行ったらね、そりゃしょうがない。だけどあんまりそれを続けてると、悪い状態を続けてると、体全体であれば慣れるかもしれないけど、部分的に体の中でえこひいきを続けていると、ひねくれてくるところがありますよと。

そこを悪いと言ってます。

舌下に体温計入れたとか、腋の下に体温計入れたとか、いま非接触体温計でコロナにかかってないかとか、ああいう体温とちょっと違うんですよ。

あれは36.2度ですねー、発熱してないからOKです、ってなりますけど、ここでいう低酸素低体温は局所的に体のどこかの部分だけ血流が流れていない。その環境に適応しちゃったためにミトコンドリアもうまく使わなくなっちゃった。というような場所が温床になってますよ、がんを作る下地になってますよという考え方です。

 

曽我

その、局所的にどこで低体温が起こってる、低酸素になってる、というのはパッとわからないものなんですか?今の医学では。

 

中村

西洋医学で、生理学とかで細かい話もあるんですけど、わかりやすいのは東洋医学。

例えば東洋医学の考え方で、いつも怒っている人、イライラしてる人は「肝臓」だっていうんですよ。肝臓と怒りが関係してると。

いつも悲しいとか鬱っぽいような人は「肺」だと。

臓器と自分の気持ちを「五行」で整理するやり方もあるし、東洋医学、漢方の世界ではそうやって処方していったりする。

その体系で治療をしてきたという実績があるように、気分の問題とか、あるストレスに対する自分の反応の仕方とかで、局所的に自分の中に低体温、低酸素を作ってしまっているということはありますね。

 

曽我

なるほど。そのへんめちゃくちゃ聞きたいのですが別の機会に。

低体温、低酸素が局所的に起こり、体に悪いということがわかりました。

ありがとうございました。

 

中村

ありがとうございました。

 

 

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