免疫という言葉はなんとなく聞いた事があり、なんとなく意味は分かると思います。
ですが、「免疫力」とは何でしょうか?
それは、「病気にならないために必要な力」です。
「自分の免疫力はどの程度か?」は血液検査で簡単にわかります。
この記事では「免疫力が高い」という基準などをわかりやすくまとめています。
また、免疫力が下がってしまう、やってしまいがちな生活習慣などをまとめています。
本当の免疫力を知り、病気にならない体を作りましょう!
目次
1 免疫力とは「どれだけ病気になりにくいか?」
免疫力とは、「あなたがどれだけ病気になりにくいか?」を示す力です。具体的に「免疫力」が高いとはどうのようなことをいうかというと、『免疫という仕組みの中心的な役割を担っている「白血球」を構成する免疫細胞の数が理想的な数値である』ことを指します。
1-1 免疫とは「疫病(病気)から免れる」こと
免疫とは、細菌やウィルスなどの外敵から身体を守ったり、体内で生まれるがん細胞を死滅させたりして、体が病気にならない(疫病から免れる)ための仕組みです。
この仕組みで中心的な役割を担っているのが、血液中の「白血球」と呼ばれる免疫細胞です。
1-2 同じ病気にかからないのは免疫のおかげ
インフルエンザの予防接種を受けると、同じ型のインフルエンザにかかりにくくなりますよね?ワクチンによりかかりにくくなるのは、「免疫」という仕組みのおかげです。よく「免疫がついた」という言葉を耳にすると思います。
インフルエンザのワクチンなどで、免疫に「このウィルスは異物だ!」と覚えさせ、インフルエンザウィルスが体内に入ってきたら、異物と判断して白血球の免疫細胞がすぐに攻撃してくれるため、インフルエンザにかかりにくくなります。
2 自分の免疫力は血液検査で分かります
ご自身の白血球中に存在する免疫細胞の数は血液検査で簡単にわかります。
2-1 免疫力を知る血液検査は「白血球分画」
病院やクリニックなどで「白血球分画を調べてください」と伝えると調べてくれます。
健康保険適用外なので全額負担となりますが、3,000円程度の費用負担で調べてくれます。
2-2 「好塩基球」「好酸球」「好中球」と「リンパ球」の数値を見よう!
まずは、検査結果の「好塩基球」「好酸球」「好中球」のパーセンテージを足し算してください。例でみると、54.4%となります。リンパ球は40.9%となっています。
このパーセンテージは、白血球数(例では6,000個)のうちそれぞれの視細胞が占める割合です。
白血球数が6000個なので、
「好塩基球」「好酸球」「好中球」:6000個×54.4%=3,264個
「リンパ球」:6,000個×40.9%=2,454個
この2つの数値が免疫力の高さを示す指標となります。
なお、「好塩基球」「好酸球」「好中球」の3つを合わせて「顆粒球」と呼びます。
2-3 免疫力が高いかどうかは「顆粒球」と「リンパ球」の数で決まる
一般的に健康といわれている方の顆粒球とリンパ球の数は、今回の例では白血球のうちの
顆粒球 :3,240~3,600個(54~60%)
リンパ球:2,100~2,460個(35~41%)
と言われています。そのため、この例の方の免疫力は高いといえるでしょう。
どちらかが上記数値より「多いからよい」「少ないからよい」というものではなく、両者がバランスよく決められた理想の数値内にいることがポイントです。この理想的な数値から多くなったり少なくなったりすると「免疫力が低下している」と言えます。
2-4 検査は自身が健康だと思うときに受けよう
免疫力を測るための血液検査は、風邪をひいていたり、病気の治療中などではなく、自身が元気で健康だと思うタイミングで受けましょう!なお、ご自身の免疫力の推移を知りたい場合は、毎年同じ時期に検査を受けるようにしましょう。白血球中の免疫細胞の数値は、体温に大きく左右されるので、寒い冬と熱い夏では結果が異なることがあります。
2-5 顆粒球やリンパ球が理想値でない場合は自律神経の乱れが原因
人間は自律神経(交感神経と副交感神経)がバランスよく働いていると、健康に元気でいられます。しかし、この自律神経のどちらか片方が多く働くようになってしまうと、危険です。
・交感神経が働いていると、顆粒球が増えます。
・副交感神経が働いていると、リンパ球が増えます。
と顆粒球とリンパ球の数値が乱れ、免疫力が低下し、元気もなくなり、病気がちになります。
3 免疫力を高めるために見直すべき3つの生活習慣と改善方法
免疫力が下がると、ほぼすべての病気にかかりやすくなってしまいます。免疫力を下げずに健康な体を保つためには、日々の生活習慣において自律神経をバランスよく働かせることが重要です。
3-1 仕事のし過ぎによる過剰ストレス
現代人は仕事のし過ぎといわれています。IT化が進み、いつでもどこでも仕事ができるようになってしまったため、仕事に触れている時間が自然と多くなってしまっています。いうなれば仕事中は戦闘状態であり、仕事中は筋肉などが緊張しているため、交感神経が優位になってしまいます。
3-1-1 しっかりと休む時間をとって、副交感神経を働かせよう
「食事中は携帯やパソコンを開かない」「夜12時までには必ず寝る」など、自分自身でルールを作って休む時間を作りましょう。また、ご飯を食べて胃の中に食べ物がある状態も血液が胃に集中し、副交感神経が優位となります。副交感神経を働かせるには、食事と休息(睡眠)をしっかりととりましょう。
3-1-2 まずはこれだけ!毎日20分だけ湯船につかろう
忙しいとシャワーだけで済ましてしまいがちですが、本当に仕事で忙しいときこそ、湯船につかってゆっくりしてください。湯船に20分つかるとこんな効果が得られます。ちなみにおすすめは40℃~41℃程度です。
・全身を温めることができる。
・汗をかいて老廃物を出すことができる。
・リラックスできるので、頭の整理ができる。意外と仕事のアイディアが生まれることもある。
20分もお風呂に使うなんてもったいない!と思うかもしれませんが、休むことも仕事のうちです。
3-2 暴飲暴食や不規則な生活による自律神経の乱れ
食事をして、胃の中にものが入ると血液が胃に集中し、副交感神経が優位になります。暴飲暴食により、胃の中に食べたものが多く、消化に時間がかかると、副交感神経が優位となっている時間が長くなります。また、テレビを見て夜更かしなどだらけた不規則な生活なども副交感神経が優位になります。
3-2-1 腹八分目を目標にして、メリハリのある生活を心がけよう
少し物足りないけど満足できる量の食事にしたり、寝る時間と起きる時間を決めて怠惰な生活から抜け出し、自律神経をバランスよく働かせましょう。
3-2-2 まずはこれだけ!食べる順番を意識して満足する
食べる順番を意識すると消化のスピードなどに影響してきます。野菜→お米→肉類・魚類で食べるします。そうすると、お米や肉類などを消化器官で消化する際、野菜で取り入れた消化酵素が消化を助けてくれて、食べたものがスムーズに消化されるからです。
3-3 解熱剤による自律神経の乱れ
風邪をひいた時や少し頭が痛いなど、鎮痛解熱剤に頼りがちではないでしょうか?最近では、よく効く鎮痛解熱剤がドラッグストアで手に入るので、利用する方も多いと思います。しかし、鎮痛解熱剤は交感神経を刺激します。少しの頭痛や風邪だと、解熱剤で症状を抑えて仕事をしようと考えてしまい、仕事のストレスと解熱剤により交感神経の働きが強くなってしまいます。
3-3-1 解熱剤は最後の切り札として、痛むところやその周りを温めよう
頭痛や眼精疲労などは首周りや頭などを温めて血流をよくすることで改善することもあります。風邪の場合は、薬に頼らずに昔から言われるように「暖かくして寝て治す」を心がけましょう。仕事なども心配ですが、薬に頼らずに寝て治せば平均して2.8日で治るようですが、解熱剤などに頼ると平均4日は治癒にかかるようです。
3-3-2 まずはこれだけ!ペットボトルによる患部温め法
仕事中に頭が痛くなったりした場合、空のペットボトルにお湯を入れましょう。※やけどにご注意ください。
触れる程度の熱さになったら、首の後ろや目の上などに当てて温めましょう。血行が促進され、痛みが和らぎます。
4 免疫細胞を知って病気知らずの免疫力が高い健康な身体に
免疫細胞を知ると、「なぜ病気になるのか?」が分かってきます。
4-1 サイズの大きい異物を処理する「顆粒球」
2章でも触れましたが「好塩基球」「好酸球」「好中球」をまとめて「顆粒球」といいます。この顆粒球は真菌(カビ)や細菌などのサイズが大きい異物を処理する係の免疫細胞です。
交感神経が優位に働いているときに、体内に顆粒球が多くなります。
4-1-1 毒性の強い活性酸素で外敵を攻撃
顆粒球は外敵を倒す際、毒性の強い活性酸素で攻撃します。それにより異物が処理されますが、顆粒球が寿命を迎えた時も同じく毒性の強い活性酸素を放出します。顆粒球の数が理想的な数値の場合は、体の機能により、この活性酸素は無毒がされますが、理想的な数値より多いと体内で処理しきれず、正常な細胞まで傷つけてしまいます。
4-1-2 顆粒球の活性酸素でがんや糖尿病など様々な病気に
活性酸素により傷つけられた細胞はがん細胞になります。また、活性酸素により血液が酸化してしまい、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの血管系の病気や糖尿病になるリスクも高まります。
4-2 ウィルスなどサイズの小さい異物やがん細胞を処理する「リンパ球」
リンパ球は顆粒球では処理できない小さいな異物を処理する係です。
副交感神経が優位に働いているときに、体内にリンパ球が多くなります。
4-2-1 みんなががんにならないのはリンパ球のおかげ
がん細胞はどんな健康な人にも毎日生まれているのはご存知でしょうか?人間の体内では、どんな健康な状態であっても毎日5000個ほど生まれています。
しかし、全ての人ががんになるわけではありません。それは、リンパ球がしっかりとがん細胞を退治してくれるからです。このリンパ球が極端に少なくなると、がん細胞を退治できず、次第にがんとして見つかるほど、大きくなってしまいます。
4-2-2 リンパ球が多いとアレルギー体質に
逆にリンパ球が多ければ、がんにならないのではないか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、リンパ球が多いと、今度は微小な花粉やほこりなどのアレルギー物質(アレルゲン)に過剰に反応するようになり、アレルギー体質になってしまいます。
4-3 やっぱり顆粒球とリンパ球のバランスが大切
上記のように、顆粒球やリンパ球が多くても少なくても、身体は健康ではいられません。
2章にあるようにお互いが理想値の範囲内にいることが「免疫力が高い」=「健康な状態」といえます。
さいごに
免疫力が高いと簡単には病気になりませんし、なっても治りやすいです。
この免疫力は日々の生活習慣により高い状態を保つことが可能です。
過剰なストレスは禁物ですが、適度なストレスは必要です。
自身の免疫力も簡単に知ることができますので、一度調べてみて、生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか?
コメント