ダイエット

2018.11.2

本当は怖い!肥満とは何か?|予防しないと命の危険にも!?

「私は肥満体型なんじゃなくて、ぽっちゃり系なだけ。」

ぽっちゃり」というワードが近年流行するに連れて、こんな事を言っている人を見かけたことはありませんか?

しかし、私自身は「自称ぽっちゃり」な人のなかで、ぽっちゃりの範疇な人に、未だかつて出会ったことがありません。

「それは立派に肥満なのでは…?」と思うことが殆どです。
しかしそんな時、ふと気になったことがありました。

肥満明確な線引き定義)はあるのかどうか?ということです。

「ただ太っている事」と、「肥満」は違うのでしょうか?

気になって調べてみると、肥満には細かい定義があるだけでなく、実は重大な病気に繋がるということがわかりました。

なので、本記事は「肥満とは何か」をテーマとしました。
その上でみなさんを、危機感を持ち、予防のための行動へと繋げられることを目指して、肥満に関する以下のような項目に分けて、ご説明します。

  • 定義
  • メカニズム、原因
  • 種類
  • 肥満症
  • メタボリックシンドローム
  • 予防・解消策

実は万病の元となる「肥満」の原因を知り、すぐに始められる予防方法をご紹介します。

1 肥満とは何か?

肥満は、どのような基準・定義となっているのでしょう?
また、何が原因で、どのように進行していくのでしょうか?

まずは本章でみなさんに、肥満についての基礎知識を知って頂きます。

肥満の定義・基準とは

肥満とは身の中に体脂肪が、過剰に蓄積された状態のことを指します。
これが、肥満の定義です。

基準については「日本肥満学会」や「WHO」などで、数値を定めています。

数値とは、BMI値(=Body Mass Index)を基準としています。
BMI値25以上であれば、医学的にも一般的にも「肥満」に分類されてしまいます。

肥満には、BMI値に応じてレベルがあり、Ⅰ〜Ⅳ度までに分かれています。

※BMI=体重(㎏)÷身長2(m)

BMI値 日本肥満学会の判定
18.5未満 痩せ
18.5〜24.9 正常
25.0〜29.9 肥満Ⅰ度
30.0〜34.9

肥満Ⅱ度

35.0〜39.9 肥満Ⅲ度
40.0以上 肥満Ⅳ度

ちなみにBMI値が25未満でも、体脂肪率が基準を上回る人を「隠れ肥満」といいます。

ちなみに、体脂肪率の基準は以下のとおりです。

標準 肥満
男性 15〜20% 25%以上
女性 20〜25% 30%以上

肥満になるメカニズム・原因

ではどうして肥満になってしまうのでしょう。
肥満に限らず、太る原因とはエネルギーのアンバランスです。

どういうことか。
つまり、食事から摂取するエネルギー>燃焼、運動で消費されるエネルギー」となると、余ったエネルギーが「体脂肪」として蓄積されます。

また正常な人と比較して、肥満体型な人にはレプチン(ホルモン)の働きが悪いという共通点があります。
このレプチンの働きを中心に、肥満体型な人が、なぜ食べすぎてしまうのかという原因を説明したものが、下記の図です。

このように、食欲を抑えるホルモンが「レプチン」であり、それが働いていないと、いつまでも食欲が止まらず、必要以上に食べてしまうというわけです。
またレプチンは、エネルギー代謝の調節にも関わっています。

遺伝と肥満

「太りやすい人」と「太りにくい人」がいるという事は、皆さんご存知でしょう。

その違いは、遺伝に関係しています。

「太りやすい人」は、遺伝的に“熱生産”を高めにくい人のことを言います。
(熱生産とは、各臓器でエネルギーを燃やして熱を発生させることです。)

なぜ熱生産を高めにくいのでしょうか?

脂肪細胞にあるUCP−1(アンカップリングプロテイン1)」という成分が、熱生産を強く引き起こし、エネルギー効率よく熱に変えています。
この機能が、生まれつき弱い遺伝子を持つ人がいます。

これが、遺伝的な太りやすさの正体です。

肥満の原因としては、7割が生活習慣ですが、残り3割は遺伝的要素です。

内臓脂肪型には2つの種類

肥満には大きく分けて、2つに分かれます。
これは、体脂肪の分布(体脂肪がついている部位)によって、「リンゴ型」か「洋ナシ型」に分類されます。

2つのうち「リンゴ」(いわゆる“ぽっこりお腹”)は、生活習慣病につながりやすく、特に注意が必要です。
それぞれ、詳しくご説明していきます。

リンゴ型

リンゴ型は、正式には「内臓脂肪型肥満」といいます。
ヘソ周りのウエストサイズが、男性は「85㎝以上」であり、女性は「90㎝以上」であると、これに該当します。

女性よりも男性が陥りやすい肥満型です。
加齢によって、男女ともに付きやすくなる脂肪です。

皮下脂肪よりも、内臓脂肪が多くついているタイプです。
一見、太って見えないため、気づきにくという特徴があります。

洋ナシ型と比べ、比較的落としやすい脂肪です。

しかし、合併症の可能性が高いため「性肥満」と言われています。
以下のような合併症が考えられます。

  • 動脈硬化
  • 脳卒中
  • 心筋(脳)梗塞
  • 糖尿病
  • 高血圧

最も多い原因は糖質の大量摂取です。
なので、以下のようなものは、摂取を控えるか、量を減らしましょう。

  • 白米
  • 甘いもの
  • ビール、日本酒(醸造酒)

逆に、タンパク質を積極的に摂るようにしましょう。

リンゴ型の人は「基礎代謝」が人より低い場合が多いため、有酸素運動がおすすめです。

洋ナシ型

洋ナシ型は正式に「皮下脂肪型肥満」といいます。

男性よりも女性の方が陥りやすい肥満型です。

下腹部、腰周り、太もも、お尻(下半身)の皮下に脂肪が蓄積してくタイプで、リンゴ型と比べ落ちにくい脂肪です。

合併症を引き起こす可能性は低いため「良性肥満」と呼ばれています。

最も多い原因は「脂肪分」の摂りすぎです。
ケーキやスナック菓子等の摂取は控えたほうが良いでしょう。

筋肉トレーニングで「基礎代謝」を上げてから、有酸素運動をすることをおすすめします。

2 肥満を放置すると…

ここまでは「肥満の定義、原因」等について、ご説明してきました。

次に、もしも上記のような肥満であるにもかかわらず、対策をせず放置していると、私たちの身体はどうなってくのかという点についてお話します。

今回はなかでも「肥満症・メタボリックシンドローム・動脈硬化」について、ご紹介します。

肥満症

太った状態を指す「肥満」に対して、「肥満症」とは肥満に起因、関連する健康障害を有する(若しくは、内臓脂肪量から障害が出ると予測される)場合に、減量治療を必要とする「疾患」です。

肥満症には自覚症状がなく、高血圧・脂質異常症・糖尿病などを併発している場合が多いです。

肥満症が悪化すると以下のように、多くの疾患を引き起こします。

  • 腎症
  • 網膜症
  • 神経障害
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 変形性関節症
  • 腰痛症
  • 月経異常
  • 胆石症
  • 脂肪肝
  • ガン

診断基準

肥満症かどうかは、どのように判断するのでしょうか?

11の健康関連疾患の中から、1つでも当てはまっていたら「肥満症」と診断されます。

以下の11個が、健康関連疾患と言われているものです。

耐糖能障害/脂質異常症/高血圧/高尿酸血症(痛風)/冠動脈疾患/脳梗塞/脂肪肝/月経異常(及び妊娠合併症)

以上の8個が、脂肪細胞の質的異常から引き起こされます。

睡眠時無呼吸症候群/肥満低換気症候群/整形外科的疾患

以上の3個は、脂肪細胞の量的異常が原因となります。

メタボリックシンドローム

メタボリックシンドロームを、ただ「太っている人」と考えている人が、思いの外多いように感じます。

内臓脂肪症候群」とも呼ばれる、メタボリックシンドロームとは、複数の病気や異常が重なっている状態のことを指し、「ただ太っている人」よりも数段は深刻と言えます。

レプチンの作用が低下することで起こると言われています。
このレプチンの作用は、夜遅い時間の食事が習慣化していることで低下していきます。

メタボリックシンドロームは、動脈硬化を急速に進行させるため、一刻も早い対処が必要となります。

診断基準

平成17年に“メタボリックシンドローム診断基準検討委員会”により、診断基準が定められました。
それによると、メタボリックシンドロームは以下のような基準で、判断されます。

《ステップ1》「内臓脂肪型」である。

《ステップ2》「血清脂質」「血圧」「血糖」の3項目中、2項目以上が該当

《3項目の基準値》

「血清脂質」中性脂肪150㎎/dL以上/(又は・且つ)HDL−コレステロール値40㎎/dL未満

「血圧」収縮期血圧130㎜Hg以上/(又は・且つ)拡張期血圧85㎜Hg以上

「血糖」空腹時血糖値110㎎/dL以上

最後に待つは「動脈硬化」!

ここまでで、お気づきの方もいるかもしれませんが、肥満の人が最後に行き着くのは「動脈硬化」です。

そしてこの動脈硬化は、心筋梗塞・脳梗塞・脳卒中など、命に関わる疾患へと繋がります。

ただ少し太り気味なだけ、ぽっちゃりしているだけ、などと楽観的に考えず、肥満が万病の元になるということをしっかりと認識しましょう。

※動脈硬化について、さらに詳しく知りたい方は以下(↓)をご覧ください。

 http://danran-family.com/what-is-arterios…erase-five-risks-5032 ‎

3 肥満は自分で予防・解消できる!

肥満を甘く見てはいけないということは、お分かりになったでしょう。

ではいよいよ、そんな肥満の「改善・予防策」をご紹介します。

肥満を解消するにおいて、何よりも重要な事は「摂取エネルギーを減らす事」と「消費エネルギーを増やす事」です。
つまり「食生活」と「運動」でしょう。
なので本章では、その2点に絞ってご説明します。

食生活からの6つの対策

では「食生活」についてのお話から進めていきます。

食生活には、気をつけるべきポイントが6つあります。
6つと聞くと多くて大変そうにも感じますが、どれも今日からすぐに初められる手軽なものばかりなので、少し頑張って実践していきましょう。

①夜間に食べすぎない

脂肪細胞では、「BMAL−1」という脂肪を貯蓄する働きがある、タンパク質が生成されます。

しかし人間の体は、翌日に備えるため夜間には、生成量が大幅に増加します。

そのため、夜間にたくさん食べることは肥満に繋がります。

②1日3食を規則正しく

朝食を抜いたりすると、身体は足りない分を補うため、必要以上に昼夜に食べたもののエネルギーを吸収しようとしてしまいます。

さらに、自分自身もお腹が空いているため、ついつい食べすぎてしまいます。

③よく噛んで食べる

よく噛むことは、満腹中枢を刺激し、脳に満足感を与えます。

また良く噛んで食べていると、自然に食事のスピードもゆっくりになります。
食事を始めてから、満腹中枢が刺激を受けるまでに、20分かかるということも分かっており、食事に時間をかければかけるだけ、少しの量で満足出来るというわけです。

④栄養バランスに気をつける

栄養バランスに気をつけて食事をすることは、肥満対策だけでなく全ての健康へと繋がります。

主食・主菜・副菜を3食ともしっかり食べるようにしましょう。

⑤アルコールは程々に

アルコールは、1gに約7kcalもあり、実は高カロリーなものです。

ビール(350ml)1本で150kcal、日本酒1合で200kcal、ワイングラス1杯で100kcalほどあります。

また、中性脂肪を増やす作用もあるため、やはり量を減らすことは効果的です。

⑥間食を止める

間食では、甘いもの(おやつ)等、糖質や脂質の多いものを摂りがちです。
加えて、ダラダラと間食をすると、自分自身でもどれくらいカロリーを摂取しているのかは、把握できなくなってしまいます。

運動して対策

筋肉量を増やすと、代謝が上がり、痩せやすく太りにくくなります。

最もお勧めな運動方法で「有酸素運動」です。
例えば、速走・ジョギング・水泳・サイクリングなどが良いです。

「ややキツイかな」というくらいがベストです。
また、運動する頻度に関しては「30〜60分の運動を週に3日以上行う事」をおすすめします。

また、普段の生活から、短い距離でも歩くことが大切です。
駅では階段を使う、ひと駅手前で電車やバスを降り歩く、などがおすすめです。

4 近年増える「子どもの肥満」

近年、欧米の食生活が当たり前になってきたせいか、子どもでも肥満になるケースが増加し、今では全体の1割を上回る子どもが、肥満であると考えられます。

子どもの肥満は、両親が気をつけてあげなければいけません。

子どもが肥満になる、最も多い原因は「食事・おやつ・ジュース」の過剰摂取です。

肥満を放置しておく事のリスクは、大人も子どもも同じです。

子どもは疾患のリスクに加え、肥満体型であることをイジメられる等が原因で、自分に自信が持てなくなってしまうなど、精神的な影響も受けかねません。

子どもの肥満はローレル指数を参考に!

大人が肥満か否かを調べるために用いるのは、BMI値ですが、子どもにもそれに変わるものがあります。

それが「ローレル指数」です。

ローレル指数とは、子どもが見た目ではなく医学的に、肥満かどうかを判断する数値のことです。

体重(㎏)÷[身長(㎝)×身長(㎝)×身長(㎝)]×10000000(10の7乗)=ローレル指数

発育状態 ローレル指数
痩せすぎ 100以下
痩せ気味 101〜115
標準 116〜144
太り気味 145〜159
太りすぎ 160以上

子どもの肥満を解消する

子どもは自主的に、解消するということがあまり望めないため、両親が普段から気をつけることが大切です。

しかし、大幅に食事量を減らすなどは、成長期の子どもの身体には負担となってしまうでしょう。

そこで、気をつけるべきなのが、以下の3点です。

  • 規則正しい時間の食事
  • 栄養バランスに注意する
  • 適度に量を見直す

規則正しい時間というのは、一例を上げるとこのような時間帯です。
朝は7〜8時、昼は12〜13時、夜は19〜20時(一般家庭の平均時間)、となっています。

また、適度に量を見直すというのは、「給食」を参考にすると良いでしょう。

5 最後に

いかかでしょうか?

ここまで、肥満の定義・メカニズム・原因に始まって、肥満の2つの種類、肥満症やメタボリックシンドロームについて、肥満の予防・解消策、子どもの肥満についてをご説明しました。

肥満を「ちょっと太り気味」で済ましていると、後で後悔することになってしまいます。

気づいた時に始めることが最も大切なのです。
なので本記事を読んだみなさんは、まずは自分の体型と向き合ってみてください。

SNSで最新情報をチェック