脳梗塞

2018.8.3

脳梗塞とはどんな状態?3つのタイプと脳梗塞にならない生活習慣まとめ

 突然ですが、あなたの周りで急に倒れてしまった人はいませんか?

「昨日まで元気だった人が急に倒れてしまい帰らない人になってしまった」

「一命をとりとめても後遺症が残ってしまい、その後の生活に支障がでてしまった」

という話、決して他人事ではありません。

でも、あまり実感がなくて、自分は大丈夫とどこかで思っていませんか?突然倒れる原因は複数ありますが、その原因のひとつに脳梗塞を含む脳卒中があります。

 脳梗塞を含む脳卒中は長く日本人の死亡原因第一位で、現在でも死亡原因のトップ5に入ります。また、一命をとりとめたとしても、後遺症が残ってしまい倒れる前と同じ生活には戻れないケースもあります。一度倒れてしまうと自分だけではなく、周りの家族の生活も変えてしまう怖れがあるのが脳卒中です。

 しかも、近年脳梗塞で倒れる方は増えてきているという調査結果もあります。この記事では特に「脳梗塞」にスポットをあてて、脳梗塞にはどういった方がなりやすいのか、倒れる前の予兆はあるのか、予防するにはどうしたらいいかなどをご説明します。

 倒れてしまってからでは遅いのです。今から「転ばぬ先の杖」として毎日ちょっとした予防をこころがけましょう。

1 脳梗塞ってどんな状態?

1-1 脳梗塞は脳内の血管が詰まった状態

脳梗塞はなんらかの原因で脳の血管が詰まって、血流が止まったり悪くなったりする病気です。その詰まったものがすぐ溶けてしまえば血流は元通りになります。血液が流れてこないために酸素や栄養がいかなくなりダメージを受けていた脳組織も息を吹き返します。

 脳は100gの脳に対して一分間に55~65mlの血液が流れ込んでいます。

 成人の脳の重さが約1400gなので一分間に770~910mlの血液が流れ込んでいる計算になります。この血流量が100gあたり18ml以下になると脳の働きは休止して、10ml以下になると脳細胞は壊れ始めます。

 一度壊れた脳細胞はもとにもどりません。そのため、脳梗塞で倒れた場合は一刻も早く脳への血流を戻さなくてはなりません。

1-2 脳梗塞の3つのタイプ

脳梗塞は詰まる血管の太さや詰まり方によって3つのタイプに分けられます。

・ラクナ梗塞

ラクナ梗塞の「ラクナ」とはラテン語で「小さい穴、小さな空洞」という意味です。

太い血管から枝分かれした細い血管が詰まってしまう梗塞です。多くの原因は高血圧によって細い血管に高い圧力がかかり続けた結果、血管の壁が次第に厚くなって血管の内部は細くなっていってしまい最終的に詰まってしまいます。細い血管が詰まるので比較的症状が軽く済むことも多いですが、場所によっては後遺症が残ったり、脳の多くの部位で少しずつ症状が進行し、取り返しがつかなくなる場合もあります。また、認知症に繋がることもあります。

・アテローム血栓性梗塞

ラクナ梗塞が細い血管が詰まることに対して、こちらは中程度~太い血管におきる血栓による梗塞です。

加齢や高血圧、糖尿病などによって血管が弾力性を失い、どろどろになった血液が血管内膜にこぶのようなものを作ってしまいます。これが血栓となり血管を塞いでしまいます。詰まった場所により、致死率やその後の後遺症が違ってきます。

・心原性脳梗塞症

脳でできた血栓ではなく、心臓でできた血栓が脳の動脈に流れ込んで詰まらせてしまった梗塞です。

血栓が大きくなりやすいのが特徴で、太い血管でも詰まってしまします。そのため症状が重篤化しやすく、後遺症もマヒのほかに他人の言っていることがわからない、しゃべれないなど大脳皮質が侵されたときの症状がでることもあります。

1-3 こんな症状は要注意!脳梗塞の予兆

脳梗塞を起こした人の4人に1人は次のような「前触れ」を経験しています

・体の半身の手足がしびれる

・めまいがしてまっすぐに歩けない

・手の力が急に抜けて箸やペンを落としてしまった

・力はあるのに立ち上がれない、歩けない

・舌がもつれてしゃべれない

・相手の言うことは理解できても言葉が出てこない

 

・ものが二重に見える

・片方の目で一時的にものが見えなくなる

 

1-4 一過性脳虚血発作(TIA)とは

上で挙げたような症状を一過性脳虚血発作(TIA)といいます。

一時的に脳の血管が詰まって脳の組織に十分に血液が供給されないことによっておこります。起こっていることは脳梗塞と同じことなのですが、これらの症状は一瞬や長くても30分程度でおさまってしまうことも多いため、問題にされず流されてしまいがちです。

しかし、この症状を起こした人の15~35%が3~4ヶ月以内に脳梗塞で倒れているというデータもあります。すぐにこの症状がおさまったとしても、裏を返せばいつ本格的に血管が詰まってもおかしくないということです。症状に心当たりがある方は今すぐに専門医療機関を受診しましょう。

コラム

脳卒中と脳梗塞は何が違うの?

 脳卒中は、いろいろある脳の血管の病気の総称で、さらにその脳の血管が詰まってしまった状態が脳梗塞です。

 脳卒中は脳内の血管が破れたり詰まってしまい倒れてしまう病気です。

 脳内で脳の血管が破れるのが「脳出血」で、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」です。この「脳出血」、「脳梗塞」をまとめて「脳卒中」と言います。

 脳梗塞のほうが発症する人の割合が高く、脳卒中で倒れた方の中で脳梗塞の方が占める割合は約65%です。

 

2 脳梗塞が起きてしまったら

脳梗塞は発作が起きてから3時間が勝負といわれています。疑いがあったらすぐ救急車を呼びましょう。

2-1 何はなくとも迷わず救急車

脳梗塞の発作は急に起きます。自分の車で・・・などと言っている場合ではありません。3時間以内に治療を始められるかどうかでその後の影響に大きく関わってきます。現在は発症後3時間以内に使用すれば脳梗塞の原因の血栓を効果的に溶かしてくれる「t-PA」という薬があります。この薬は時間がたってしまうと効果より副作用の方が大きくなってしまいますので早めに投与できるかどうかが鍵になります。

2-2 まひなどを確認

倒れてしまった人がいる場合、できるだけその人の体を平衡に保ちながら移動させます。周りに複数の人がいる場合は一人が頭を支え、一人が腰を支え、一人が足を支え・・・と協力しましょう。

体をしめつけているベルトなどはゆるめ、片半身の麻痺があるときはまひがある側を上にします。

2-3 後遺症の一例

脳梗塞で壊死してしまった細胞は残念ながらもとにはもどりません。現在脳梗塞で亡くなる人は昔より割合は減っていますが、発症して7%の人は亡くなり、33%の人はなんらかの介助が必要になるという調査結果があります(参考文献:専門医が解説する脳梗塞の予防と最新医療)

・運動機能障害、半身麻痺

右半身、左半身など片側の手足に麻痺が残って自由に動かすことができなくなる障害。

・嚥下障害

飲食物や唾液をうまく飲み込めなくなる障害。障害の状況に応じて鼻からチューブを入れたり、胃に直接流動食を送り込む必要が出てくる場合も。

そのほか「高次脳機能障害」と言って、記憶障害、遂行機能障害(問題解決能力がなくなる)、注意障害(自分の周りのことに注意が払えなくなる)という、外見上わかりにくい障害が残ることもあります。

3 脳梗塞にならないためには

3-1 あなたは大丈夫?脳梗塞の危険因子

脳梗塞は「突然倒れる病気」というイメージがあるかもしれませんが、本当は長い時間をかけて徐々に動脈硬化が進んだ果てに起こる病気です。普段の生活習慣で以下のことに心当たりはありませんか?

・お酒が大好きで飲みだしたらなかなかやめられない

・日常的に喫煙している

・サウナが大好き

・肉が好きだが野菜はあまり食べない

 

・不整脈があって心臓にやや不安がある

3-2 脳梗塞にならない生活習慣

脳梗塞のもっとも大きな因子は「高血圧」です。血圧が高めといわれている方は特に注意しましょう。

塩分を控えましょう

高血圧を予防するには「塩分を控えましょう」とよく言われます。一日の塩分摂取量を6~8g程度にすると高血圧患者の20%は血圧が下がります。しかし、現在の日本人の塩分摂取量は平均12~13gといわれています。これは外食や加工食品、コンビニのお弁当などを食べる人が増えたからと考えられています。

かといってすぐに食生活を変えるのは難しいもの。まずはしょうゆを減らす、味噌の量を減らす、薄味にする。などできるところからはじめましょう。

こまめに水分を摂りましょう

体が脱水状態になると血液に粘りが出てきて、血栓ができやすくなります。高齢になると喉が渇かなくなる方が多いので意識して水分を摂る必要があります。また、夜中に何度もトイレに起きてしまうのが嫌で水分を摂らないという方もいらっしゃるようですが、寝ているときは汗もかきますし、水分は体外に出てしまっています。出ていく分はしっかり補いましょう。

できるだけ歩くこと

適度な運動は血行を良くしてエネルギーを消費します。また、ストレス解消にも効果的です。一日30分の運動で血圧は下がりますので、運動を習慣化したいところですが、それもハードルが高いという方は「できるだけ歩く」を心がけてください。「エスカレーターは使わずに階段を使う」「近距離なら車に乗らずに歩く」を習慣化するだけでも運動になります。

急激な温度差をさける

寒い脱衣所から熱いお風呂につかるとか、温かい寝床を出て寒いトイレにいくといった急激な温度変化は血圧を上げます。実際にこの「ヒートショック」と呼ばれる現象が家の中で亡くなる死亡理由の上位にきています。脱衣所やトイレには暖房をつけましょう。

しっかり身体を温める

身体を温めることで血流がよくなり、心臓への負担が減ります。私たちの身体に血液を送り出しているのは心臓です。血流が悪いとそれだけ心臓が血液を送り出すのにパワーを使います。血流を良くしておく事は心臓に負担をかけないためにも大切なことです。

まとめ

脳梗塞は急に倒れるというイメージがあるかもしれませんが、毎日の生活習慣の積み重ねによってもたらされる病気です。

一度倒れてしまうと後遺症が残ってしまう病気の代表でもありますし、その場合迷惑をかけてしまうのは家族などの身近な人です。

脳梗塞を予防するのは生活習慣病を予防することと同じです。生活習慣病も脳梗塞も予防して毎日を健康に生きたいですね。

 

 

 

 

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