脳梗塞

2018.10.5

脳梗塞は予防できる!食事・運動・生活3つのパターンの状況別予防法

自分の人生の終わりを意識した時に、

「亡くなる直前まで元気に過ごしたい」

「寝たきりになりたくない」

とは誰しも思うことではないでしょうか。現在、日本の寝たきり患者の寝たきりとなる原因は4割が脳梗塞を含む脳血管疾患からです。

脳血管疾患の原因は生活習慣病や高血圧、糖尿病と言われています。「ある日突然倒れる」というイメージが強い脳梗塞や脳出血ですが、日ごろの生活習慣の蓄積の結果として倒れてしまうのです。

倒れた後、一命を取り留めても寝たきりになってしまったり何らかの後遺症が残ることも多い脳梗塞や脳出血。

一番いいのは「倒れないこと」です。

この記事では脳梗塞を含む脳血管疾患の予防法をお伝えします。倒れてからでは遅いので、ぜひ今日から気をつけてください。

1 脳梗塞の原因と3つのタイプ

脳梗塞は脳の血管が詰まってしまうことで起こりますが、詰まる原因によって3つのタイプに分けることができます。

1-1 脳梗塞の3つのタイプ

・アテローム血栓性脳梗塞

脳の太い血管が詰まる。太い血管を詰まらせてしまうほどの血栓なので血栓がやや大きい。

・ラクナ梗塞

脳の深い部位にある細い動脈が詰まる。血栓の大きさとしては小さい。

・心原性脳塞栓症

心臓の血栓が血流で運ばれ脳の太い動脈に詰まる。できる血栓は3つの中で一番大きくなりがち。

それぞれの梗塞のもう少し詳しい説明は「脳梗塞とはどんな状態?3つのタイプと脳梗塞にならない生活習慣のまとめ」の記事をご覧ください。

1-2 脳梗塞の原因

脳梗塞は脳の血管が詰まることによって起こるので、「脳梗塞の原因=血管が詰まる原因」と言い換えてもいいかもしれません。

原因1 高血圧

高血圧は脳梗塞を含む脳卒中の最大の危険因子です。高血圧の状態が長く続くと、アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞が起こりやすくなります。血圧が高くなるにつれ、脳卒中の発症率が格段に上がるというデータもあります。

原因2 糖尿病

血液中の糖分の量を血糖値といい、血糖値が高い状態が慢性的に続く病気が糖尿病です。

糖尿病になると血管が拡張しにくくなったり、血管や細胞が傷つけられて動脈硬化が進行します。さらに、血液が固まりやすくなることも脳梗塞の原因の一つとなります。

糖尿病がある人はそうでない人に比べて脳梗塞の発症率が2~3倍になると言われています。

原因3 脂質異常症

中性脂肪やコレステロールなど血液中の脂質が多すぎる脂質異常症も動脈硬化から脳梗塞を引き起こす危険因子です。悪玉コレステロールのLDLコレステロールが血液中に増えすぎると血管の内皮細胞が傷ついたところからLDLが血管壁に入り込み脳梗塞を起こすリスクが高くなります。

2 脳梗塞の状況別予防法

脳梗塞の予防はすなわち高血圧や糖尿病、生活習慣病の予防ということでもあります。この章では食事、運動、普段の生活の観点から脳梗塞の予防方法をお伝えします。

  

2-1 脳梗塞を予防する食事法

食事抜き、まとめ食いはしない

食事を抜くと反動で次の食事にまとめ食いをしてしまいがちです。まとめ食いをすると血糖値が急上昇し一度に大量のインスリンの分泌が必要になります。するとすい臓には大きな負担がかかり、血糖コントロールが乱れてしまいます。

この生活を続けているとすい臓が弱ってしまい糖尿病を招くことになります。

規則正しい食事リズムを心がける

糖尿病はすい臓からのインスリンの分泌や作用不全によって高血糖が続くことで引き起こされる病気です。

糖尿病は動脈硬化の進行を早めるので脳梗塞のリスクもその分大きくなります。糖尿病は基本的に食べてはいけないものはありませんが、一日の摂取エネルギー量を守ったバランスの良い食事を心がけましょう。また、決まった時間に食事をすることでインスリン分泌のリズムを乱さないようにすることも大事です。

食べる順番を意識する

血糖値をコントロールするには食後の血糖値が急に上がらないようにする食事法が有効です。食事のときは

1・食物繊維の多いおかず(野菜サラダ、キノコ、海藻類など)

2・たんぱく質の多いメイン料理(肉、魚、豆類など)

3・炭水化物(ご飯、パンなど)

の順番で食べるようにしましょう。

食物繊維は消化に時間がかかるので最初に食べることで血糖値の急上昇を抑えます。たんぱく質の料理もなるべくゆっくり食べることがポイントです。最後に炭水化物を持ってくることで空腹感がなくなり、糖質の摂取量も減らすことができます。

2-2 運動で予防する

適度な運動の継続は脂肪を燃焼させ肥満を解消する効果や、血圧や血糖値を下げる効果、中性脂肪を減らす効果など様々な良い効果があります。

1日20~30分の運動を生活に組み入れる

脳梗塞予防には「有酸素運動」がお勧めです。

有酸素運動とは身体に酸素を取り入れながらあまり負担の大きくない動きを継続的に行うものでウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などがこれにあたります。1日20~30分程度を目標にして行ってください。

2-3 おすすめの「簡単おしりあげ運動」

なかなか運動の時間が取れない人のために、椅子に座ってできる運動をご紹介します。

①椅子にこしかけて背筋を伸ばし、両手をももの上に置きます。

②座ったままで息を吸いながら上半身を少し前に傾けます。

③息を吐きながら、おしりを15~20cm浮かせ、3秒キープ。再び椅子に腰掛けます。この動作を10回繰り返します。

2-4 日常生活で脳梗塞を予防する

良質な睡眠をとる

寝ているときに分泌される成長ホルモンは新陳代謝を促し身体のダメージを修復する働きをします。また、寝ているときは一日のうちで血圧が最も安定するときです。昼間に傷ついた血管を修復するのも寝ている時です。

良質な睡眠をとるためには、体内時計のリズムを規則正しくすることが大切です。脳から分泌されるメラトニンという睡眠ホルモンは朝、太陽の光を浴びることで分泌が止まり、その後14~16時間後に分泌を再開します。このリズムを上手く活かして眠ることが大切です。

湯船に浸かる

お湯につかって全身を温めると身体のすみずみまで毛細血管が広がり血流を良くしてくれます。そのため、シャワーで入浴を済ますのではなく、湯船にきちんと浸かることをお勧めします。

ただし、のぼせるほど熱いお湯は禁物です。入浴直後に血圧が急上昇して血管に負担がかかってしまいます。

入浴したあとは十分に水分補給をしてください。

自宅の寒暖差を無くす

脳梗塞の発作は血圧が急激に上がったときに起こりやすいということがわかっています。脳梗塞の予防のためには普段から血圧が変動しないように工夫をしましょう。

夏場:夏に暑い屋外から帰ってきて急に冷たいエアコンの風に当たると血管が収縮して血圧が急上昇してしまいます。エアコンの風に直接当たらないよう注意しましょう。

冬場:冬も環境によって寒暖差が激しくなる季節です。特にお風呂と脱衣所の温度差が激しくなりますので、脱衣所に暖房器具を設置するのがお勧めです。床暖房も効果的です。

コラム サウナに注意!

サウナは健康にいいイメージがあるかもしれませんが、血圧が高めの人にはオススメできません。

サウナで大量の汗を流していると脱水により血液が濃くなり脳梗塞を招くリスクが高くなります。脳内の動脈硬化が進んでいる場合、濃くなった血液が血管の狭くなったところで血流を妨げ、脳梗塞を起こすことに繋がってしまいます。汗を大量にかくと喉が渇いていなくても身体は脱水状態になっていますので、意識的にこまめに水分を摂るようにしましょう。

 

3 脳梗塞になってしまったら

最近の日本人の死因は

1位:がん 2位:心臓疾患 3位:肺炎 4位:脳血管疾患

です。ですが、2位と4位の心臓疾患と脳血管疾患はどちらも血管の病気であり深く関わりあっています。実は2位と4位の人の割合を足すと1位のがんの人の割合とほぼ同じになります。

昔と比べたら死亡率が下がったと思える脳血管疾患ですが、それは医療技術が発達してすぐに亡くなることが無くなったということで、そのまま寝たきりになってしまったり、後遺症が残る場合も多々あります。

3-1 こんな症状が起きたらすぐに病院へ

甚大な脳梗塞が起きる前に前触れのように起きる発作を「一過性脳虚血発作(TIA)」と言います。

この症状は長くても30分くらいで治まってしまうため軽視されがちですが、この発作を起こした人の15~20%の人は3ヶ月以内に重篤な脳梗塞を起こしています。症状の一例として

・モノが二重に見える

・身体の片側に力が入らず歩けない

・ろれつが回らなくなる

などがあります。脳梗塞の前触れ症状については「こちら」もご覧ください。

3-2 勝負は4時間半

脳梗塞の場合、発症後4時間半以内であれば使用することができる「t-PA」という薬があります。

これは点滴で血栓を溶かす特効薬で脳の血流を再開させることができます。この薬を使うと治療を開始してから自立した生活を送れるようになる患者が使わなかったときに比べ5割増しになることがわかっています。

ですが、4時間半といっても実際に治療を行うには診察、問診、採血、レントゲンなど様々な検査が必要です。この検査にも数時間を要すため、脳梗塞の初期治療はまさに時間との戦いとなります。

様子がおかしいと思ったら速やかに病院にいきましょう。

3-3 脳梗塞の様々な後遺症

脳梗塞の後遺症は脳のどの部分に障害を受けたかで現れる後遺症の種類や程度が違います。主な後遺症としては

言葉が不自由になる言語障害

・ものを飲み込みにくくなる嚥下障害

・物事を判断することができなくなる高次機能障害

・うつなどの精神症状

・脳卒中から起きる認知症

などがあります。

脳梗塞の後遺症は一生付き合っていかなくてはいけないものになる可能性も高く、それまでの生活とは変わってしまいます。また、再発防止に努めることも大切になってきます。

さいごに

現在、寝たきりになる一番の原因は脳血管疾患によって倒れたからです。

一命を取り留めても寝たきりになってしまう、リハビリを乗り越えても後遺症は残ってしまう、など倒れる前と後では生活も変わってしまいますし、後遺症の程度によっては介護が必要になってくる場合もあります。介護でご家族や周りの方に迷惑をかけたくないと思っている方もいらっしゃるかと思いますがそうはいかない場合もあります。

血圧が高いと言われた方、糖尿病の方、コレステロールが高めといわれた方は特に今日から予防に努めましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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