腰や首の痛みの症状としてよく聞く椎間板(ついかんばん)ヘルニア。
「整形外科でヘルニアと診断された」
「自分、ヘルニア持ちで、、」
などという方、あなたの周りでもいらっしゃいませんか?
なんとなく「痛い」というイメージは沸きますよね。
しかし、「ヘルニア」という言葉は聞いたことがあっても、正確な情報を知っている方は意外と少ないもの。
この記事では
・そもそも椎間板ヘルニアって何?
・ヘルニアとはどんな症状?
・ヘルニアになる原因は?
・ヘルニアを解決する方法は?
など、ヘルニアの基本的な情報についてわかりやすく解説をします。
少しでもヘルニアについての理解を深めていただければ幸いです。
目次
1 椎間板ヘルニアとは
通常「ヘルニア」と言いますが、よくある腰や首などに起こるヘルニアは、正確には「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」と呼びます。
1-1 椎間板とは骨と骨をつなぐクッション
椎間板とは椎骨の椎体と椎体の間にある板状の軟骨組織です。
骨と骨をつなぐクッションだと考えてください。
1-2 ヘルニアとは「あるべきところから外に出ること」
もともとはをラテン語で「脱出」を意味するherniaから来ています。
あるべき場所から逸脱してしまうことを「ヘルニア」といいます。
はみ出した軟骨組織の部分が神経根などを刺激して痛みやしびれを感じるようになるのです。
ヘルニアが起きる場所は椎間板だけではありません。
1-3 ヘルニアには様々な種類がある
ヘルニアは、症状が起きる部位によって呼び方が変わってきます。
鼠蹊(そけい)ヘルニア、大腿(だいたい)ヘルニア、臍(さい)ヘルニア、横隔膜(おうかくまく)ヘルニア、脳ヘルニアなどがあります。
種類 | 備考 |
鼠経ヘルニア | 腹部にある腹膜や腸の一部が鼠径部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる下腹部の症状。「脱腸」と呼ばれています。 |
大腿ヘルニア | 脚と腹の境目である鼠径靱帯の下から、お腹の中にある腸などの組織が外に出てきて皮膚の下が膨みます。鼠径部より太もも近くが膨らみます。 |
臍ヘルニア | いわゆる「でべそ」です。生後間もなくへその緒が取れた後に,おへそがとびだしてくる状態です。 |
横隔膜ヘルニア | 横隔膜にできたすきまから,腹腔内臓が胸部に入り込んでしまう状態です。 |
脳ヘルニア | 脳腫瘍や外傷による血腫によって頭蓋内圧が高まり、脳組織の一部が正常な位置からはみだして周囲の脳組織を圧迫する症状です。 |
2 椎間板ヘルニアの主な症状
2-1 患部の痛み
ヘルニアの状態になると神経根が圧迫されるので、単純に痛みを感じる方が多いです。
腰のヘルニアなら腰痛、首のヘルニアなら首痛、というように患部に痛みが走ります。
動けないほどの激痛の場合もあれば、鈍い痛みが続く場合もあります。
2-2 しびれ
神経根を圧迫されることで、腰、手、足などにしびれが現れます。
背骨と手足は神経がつながっているため、腰や首にヘルニアが発症しても遠くの手や足がしびれます。
圧迫が強いと麻痺症状に発展し、日常生活に支障をきたすこともあります。
“ヘルニアの語源は地獄?”
「ヘルニアになるとつらい!痛い!だからヘルニアという名前になったんだ」という説もあるようですが(?)
ヘル=hell(地獄)
ニア=near(近い)
地獄に近い痛み、苦しさを味わうから「ヘルニア」。
うまいネーミングですが、違います(笑)
ラテン語のhernia(脱出する)が語源です。
しかし、症状が重い方で本当に地獄のような苦しみを味わっている方がいるのも事実です。
生活習慣の改善、医師による治療などでなるべく早く痛みから脱したいものですね。
3 椎間板ヘルニアになってしまう原因
ヘルニアになってしまう原因はいくつかありますが、主な理由は普段の姿勢や生活習慣の悪化からくることが多いです。
3-1 生活習慣による原因
現代ではスマートフォン、パソコンの使用で前かがみなどの悪い姿勢を取り続けている人が多いため、腰や首に負担がかかっています。
ヘルニアを発症しやすい習慣と言えます。
運転手などの職業の方は長時間同じ姿勢で座っていることが多いため、ヘルニアを発症しやすいというデータもあります。
3-2 その他の原因
3-2-1 遺伝
一部遺伝が関わっているという説もあります。
体格、骨格、体質などが似ている場合もありますので、ご家族でヘルニアの方がいる場合は気を付けましょう。
3-2-2 喫煙
喫煙者も椎間板ヘルニアを起こしやすいです。
これはタバコに含まれる「ニコチン」が椎間板周囲の毛細血管を収縮させることで、栄養がうまく届かず椎間板が変性してしまうからです。
3-2-3 外傷性(交通事故)
追突などの事故の衝撃で椎間板ヘルニアになることがあります。
事故後にしびれなどの自覚症状が現れ、病院へ行ったらヘルニアと診断された、という例もたくさんあります。
強い衝撃が加わっているので特に注意が必要です。
4 椎間板ヘルニアの対策法
ヘルニアには様々な治療法があります。
薬や手術をすぐ思い浮かべる方もいらっしゃいますが、自分で取り組めるケアの方法もありますので、まずはできることから始めていきましょう。
4-1 温める
ヘルニアの方に限らず、腰痛、首痛の場合は温めることは基本です。(急性期を除く)
冷えは関節、筋肉が硬くなって血流が悪くなり、症状が悪化します。
お風呂(全身浴)
39度など少しぬるめのお湯に10~20分ほど首までつかりましょう。
半身浴ではなく全身浴にしましょう。
朝と晩の2回入浴しても良いです。
ヘルニア時に限らず、シャワーだけで済ますのではなく湯船につかる習慣にしましょう。
遠赤外線製品
体の中を効率よく温めるには遠赤外線が有効ですが、よく家電量販店で見かける「遠赤外線ヒーター」「遠赤外線コタツ」などはあまり意味がありません。
なぜなら1%でも遠赤外線が出ていれば「遠赤外線〇〇」と言えてしまいますし、赤い、オレンジ色っぽい光が出ている時点で遠赤外線ではなく可視光線という波長になります。(遠赤外線は無色透明)
そこでおすすめなのは下記のベルトです。100%遠赤外線で、腰を直接温めることができます。類似商品より高額ですが、性能が全く違います。
4-2 運動・スポーツ
無理をしない範囲で体を動かすことはOKですが、激しい運動は避けましょう。
ウォーキング
・あごをひく
・胸を張る
・腰を少し後ろに反らす
という姿勢で腕をしっかり振って歩くことはおすすめです。
歩く時間、距離は特に決めず、無理をしない範囲でウォーキングをしてください。
ジョギング・マラソン
走っている最中に体重と地面から骨に衝撃がくるため、やめておいたほうが無難です。
バレーボール・バスケットボール
飛んだり跳ねたりして関節への負担が大きいので控えましょう。
ゴルフ・野球・テニス
体の片側を同じ方向にねじる運動は背骨や骨盤にねじれが生じてきやすいので、特にヘルニア等を患っている場合は控えましょう。
水泳・水中ウォーキング
関節への負担が少ない運動なので一見良さそうなのですが、水で体が冷えるのが欠点です。
血流を良くしておきたいので、なるべく水に入るのは控えましょう。
4-3 牽引(けんいん)療法
丸まった腰を引っ張るという目的で実施されることが多い牽引療法ですが、合う人と合わない人がいるので注意が必要です。
脊柱起立筋と仙骨の付着部の炎症による腰痛の場合は、牽引をすると悪化することがよくあります。「実際にやってみて楽になった」という場合は良いのですが、効果が感じられなかったらやめていいでしょう。
ちなみに欧米諸国ではこの牽引療法は、効果があまり実証されないことから実施する医療機関はほとんどありません。
“手術や注射では根本的には解決しない?”
以前はヘルニア=手術というイメージがありましたが、現在はそんなことはありません。「手術しなくていいならしないほうがいい」という考えが一般的になりつつあると思います。
手術を考えるべきときは
・仕事の都合などでどうしてもずらせないタイムリミットがある場合
・排尿障害が起きている場合
この2つぐらいです。
(排尿障害が起きているということは相当重度のヘルニアです)
また、鎮痛消炎薬、湿布、ブロック注射をやる場合も多いでしょうが全て対症療法です。
手術をしても、注射をしても、悪い生活習慣を続けていれば再発をします。一時的に痛みを取ることはできるかもしれませんが、根本的解決にはなりませんので、そこは理解したうえで受けましょう。
5 まとめ
ヘルニアの基本情報をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
基本的にはヘルニアと診断されたら医師の方針に従うべきですが、過剰な心配は禁物です。
ヘルニアと診断されてもまったく痛みを感じないケースもあれば、ヘルニア等目立った症状は確認できないのに腰、首の痛みを訴える人もいます。
実際には手術をしても痛みが残るケースも多々あります。
個人的には
・体を温める
・姿勢に気を付けて歩く
ということをおすすめしますが、誰にでも100%合う解答は無いのです。
色々な情報を集めて納得のできる予防法、治療法を選んでいきましょう。
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